「カナダグース」ダニー・リース会長兼CEOが語る 銀座の旗艦店、ハイダー・アッカーマン、暖冬への心構え
WWD:ハイダーは機能性が魅力の「カナダグース」に、クリエイティブ・ディレクターとしてどう関わっていくのか?
リース:私は、彼をファッションデザイナーというよりは、「強い美学」を持った個人として認識している。彼はブランドの価値を高めるだけでなく、ブランドのカテゴリーを押し広げ、今までにない表現を提示してくれるだろう。
WWD:昨年リリースしたスニーカーなどを見てもわかるように「カナダグース」は製品カテゴリーの幅を拡大している。プロダクトを多様化させる先にあるものは?
リース:第一に、消費者が新しい商品を求めていると感じる。ブランドの成長は、新しいプロダクトをどんどん開発してきたことも大きい。私が入社した頃、「カナダグース」のプロダクトは約20型のみで、すべてダウンジャケットだった。今では軽量ダウンからウインドブレーカー、レインウエア、帽子、靴、アクセサリーまで、数多くのプロダクトを扱う。これらのアイテムにも、主力製品と同様のクラフツマンシップを注ぎ、高い品質を担保している。ブランドの基準に沿い、顧客が求める製品を作れば、私たちは成功できると信じている。ハイダーは、この点にも大きく寄与してくれるだろう。
WWD:「環境問題」の研究者を自認するハイダーとの最初のプロジェクトとして、ホッキョクグマの保護活動を支援するためのプロダクトを発売した。
リース:ハイダーがブランドに合流してすぐ、彼と私はカナダ北部の都市、チャーチルに向かった。多くのホッキョクグマが生息し、「ホッキョクグマの首都」とも呼ばれる街だ。そこでハイダーは、ホッキョクグマの生息地とその周辺の自然環境を体験し、「カナダグース」とホッキョクグマ保護団体「ポーラーベア・インターナショナル(Polar Bear International)」との長年にわたる取り組みを理解し、共感してくれた。その体験をもとに5月に発売したのが、「ポーラーベア・インターナショナル」に売上を寄付するための“PBI フーディー”だ。キャンペーンには、環境活動家としての顔を持つ女優のジェーン・フォンダ(Jane Fonda)を起用した。