米長期国債、2025年も下落か-利下げ局面でのスティープ化取引に妙味
最近の長期債下落でも、押し目買いはさほど広がっていない。ジェイ・バリー氏率いるJPモルガン・チェースのストラテジストは顧客に対し、2年債の購入を推奨しているが、今後数週間における重要な経済データの不足や年末にかけた取引減少、新規供給を理由に、より長期の債券の購入には「強い必要性を感じない」と述べている。財務省は今後数日間に1830億ドルの入札を実施する予定。
現在の環境は、スティープ化を見込む戦略にとって完璧な条件が整っている。先週のある時点で、米10年債利回りは2年債を0.25ポイント上回ったが、これは2022年以来の大幅な利回り差だった。20日に発表された11月の米個人消費支出(PCE)統計によると、FRBがインフレ指標として重視するPCEコア価格指数は5月以来の低い伸びにとどまり、利回り差はいくらか縮小したものの、依然として勝ち組の取引だ。
この戦略の背景にある論理は理解しやすい。2年債利回りは4.3%と、現金と同等の3カ月物財務省短期証券(TB)とほぼ同水準にあるため、投資家は短期債に価値を見いだしている。しかし、2年債には、FOMCが予想以上に利下げした場合に価格が上昇する可能性があるという追加的な利点がある。米国株のバリュエーションが伸びていることを踏まえると、資産横断的な観点からも価値がある。
シタデル・セキュリティーズの金利トレーディング・グローバル責任者、マイケル・デパス氏は「債券は株式との比較で確かに割安だと市場はみており、景気減速に対する保険でもあるとみなしている」と分析。「問題は、その保険にいくら支払う必要があるかだ。現在、超短期債を見ると、多額の保険料を支払う必要はない」と語った。
一方、根強いインフレとなお力強い経済から、長期債は買い手を引き寄せるのに苦慮している。トランプ氏の政策が成長とインフレをあおるだけでなく、すでに巨額の財政赤字をさらに拡大させる可能性があることも一部の投資家は懸念している。