異彩を放つ県立進学校出身、走攻守そろう182センチ82キロの未完の外野手に夢が大きく膨らむ
◇記者コラム「Free Talking」 岡山県屈指の県立進学校出身の野手が、松山市の坊っちゃんスタジアムで先日まで行われた野球の侍ジャパン大学代表候補強化合宿で目を引いた。筑波大の岡城快生外野手(3年)で、50メートル走では野手トップの5秒82。ケース打撃でもヒットを放ち、走者としては盗塁も見せた。「高校卒業のときは大学でも野球を続けようぐらいでしたが、こういう経験をさせていただいて、さらに上のレベルで試したい気持ちが大きくなりました」 アマ野球記者にとってドラフト会議は、大みそかのようなもので、明ければ新年。スカウトと同じく、新しいシーズンに活躍しそうな選手に目が向かう。この合宿にもそういう2、3年生らの取材に行った。スカウトが高く評価した西南学院大の大型スラッガー、栗山雅也外野手(3年・東福岡)に負けじと、僕の目に強く焼きついたのが岡城だった。 岡山一宮高出身。野球では無名で、合宿参加メンバーの出身校に甲子園出場校が並ぶなかで異彩を放っていた。「名前で負けている感じもありましたが、逆に変に気負わなくてよかった。自分の高校からこういう合宿に参加したのは初めてだと思います」。聞けば、岡城の同期で、大学でも野球を続けているのはほかに3人だけで、いずれも国公立大という。 高校では投手と遊撃手で大学から外野手。課題は打撃だったが、この夏に集中的に練習。今秋の首都リーグでは3番を打って打率4割5厘でリーグ2位でベストナイン外野手も獲得した。大学野球連盟監督会副会長として合宿に同行した筑波大の川村卓監督は「右打ちの外野手として推薦した。走るフォームには改善の余地もあるが、スタートからトップスピードに上がるまでが速い」と期待を込めた。 この合宿では、チームメートはもちろん、スタッフから、課題の内角打ちのアドバイスなどをもらった。「守備と走塁はよかったんですが、さらに上でやるには、パワーとかコンタクト率とかが足りないと感じました。春は首位打者をとって、チームとして全勝優勝したい」。野球を愛した俳人・正岡子規を生んだ伊予の国で、182センチ、82キロの未完の外野手の夢が大きく膨らんだ。(アマ野球担当・小原栄二)
中日スポーツ