愛されて12年。ロジクール「G600」は最強の多ボタンマウスだ
やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。 【この記事に関する別の画像を見る】 あなたには推しのデバイスやガジェットはあるだろうか?筆者にとって、それはロジクールの多ボタンマウス「G600」だ。2012年7月の発売から約12年以上、驚異的なロングセラーを続けるこの製品は、12個のサイドボタンを搭載するのが特長。執筆時点のAmazonでの価格は8,800円。 G600との出会いは2018年頃。長年プレイしているMinecraftで呪文のようなコマンドを多用するようになったのがきっかけだった。ゲーミングPCの買い替えにあわせて購入して以来、約6年間ほぼ毎日使用していた結果、サイドボタンのいくつかがダメになってきた。 そこで今回、2台目のG600を購入したのを機に、このマウスの素晴らしさを改めて伝えたく記事を作成した。本稿は、マウスのボタン数を増やしたいと思っている人々にG600を布教し、新たなユーザーを獲得するとともに、この素晴らしいデバイスがこれからも販売され続けることを願って執筆するものである。 ■ 多ボタンマウスの金字塔、G600について G600は、MMOゲーム向けに設計された、合計20個のボタンを搭載するゲーミングマウスだ。その最大の特徴は、12個のサイドボタンとGシフトボタンにある。 Gシフトボタンは、押している間だけ各ボタンの機能を一時的に切り替える役割を果たす。たとえば、通常時はコマンド入力として機能するボタンが、Gシフトボタンを押している間はテンキー入力に変わる、といった使い方が可能だ。 これにより、各ボタンに2つの機能を割り当てることができ、カスタマイズの幅が大きく広がる。初期設定では、右クリックの外側にあるボタンにGシフト機能が割り当てられている。 G600はゲーミング仕様のレーザーセンサーを搭載し、200~8,200dpiの解像度、1,000Hzのポーリングレート、30Gの最大加速度、そして160ipsの最大読み取り速度を備えている。 また、約1,600万色から選択可能なライティング機能「LIGHTSYNC RGB」も搭載し、外観のカスタマイズも可能だ。本体サイズは75×41×118mm、重量はマウス本体のみで133g。ケーブル長は2.1m。 この製品は、初代モデル(型番:G600)が2012年7月4日に発売されて以来、12年も販売されているロングセラー製品だ。その後、2013年4月26日にはパッケージを変更したモデル(型番:G600r)が登場し、2016年4月1日には型番をG600tに変更したモデルが発売された。さらに、時期は不明ながら、型番はG600tのままケーブルなどを変更したものが現行モデルとなっている。 この記事を書くにあたって、各モデルの違いについてロジクールに問い合わせたが、詳細な回答を得ることができなかった。そのため断定はできないが、ケーブルや外装に多少の変化はあるものの、基本的なスペックや筐体の形状は初代モデルから現在に至るまで変わっていないと思われる。これは、G600の基本設計が愛されている証拠と言えるだろう。 筆者は現在、G600tの新旧モデルの両方を所有している(呼称が紛らわしいので以降G600に統一する)。両モデルの目に見える違いとしては、ケーブルと本体上部および底部のロゴが異なる。ケーブルに関しては、個人的には耐久性がありそうな旧モデルの方が好みだが、新モデルはよりしなやかで持ち運びやすいとも感じている。 ■ ゲームにも事務作業にも便利なG600 筆者はG600を主にMinecraftで使用している。Minecraftは通常、左手でWASDキーを操作し、右手でマウスを動かすだけでプレイできるのだが、筆者は大規模なワールド設計を1人で行なっている都合上、ブロックの設置作業を効率化するMODを導入している。 同MODでは、「//rep 159:9 159:9,252:7」や「//set 15%1,5%1:5,40%252:7,40%159:9」といった、まるで呪文のようなコマンドを頻繁に使用するため、コマンド入力のたびに右手をキーボードに移動する必要があり、通常のマウスとキーボードの組み合わせでは作業効率が低下し、まともにプレイすることすら困難になってしまう。 そこで、G600の豊富なボタン群が非常に役に立つ。12個のサイドボタンによく使うコマンドを割り当てて、Gシフトボタンと組み合わせることで、キーボードに手を移動させることなくマウスだけで大体のコマンド入力が可能になるのだ。 このように、G600はコマンド入力などを多用するゲームにおいて、操作の快適性を向上させてスムーズなプレイを可能とする強力なツールとなる。筆者はMODとG600により、大規模の設計を行なっている割には年間1,000時間ほどのプレイ時間に収まっている。もしこのマウスがこの世になかったら、ゲームのプレイ時間で身を滅ぼしていたに違いない。 筆者はG600を主にゲーム用途で使用しているが、マウスでテンキー操作ができるというのはゲーム以外の用途でも非常に便利だ。実際に仕事でG600を使うこともあり、キーボードから手を離さずに入力できるため、作業効率が格段に向上している。 たとえば、表計算ソフトで数値を連続入力する際、EnterキーやBackSpaceキーなども含めてマウスだけで一連の操作が完結する。文章作成時でも修正作業がスムーズに行なえるため、G600は日常的なPC作業においてもその多ボタン性を生かせる、汎用性の高いデバイスと言えるだろう。 ここで、G600のボタン割り当てなどの設定に欠かせないソフトウェアである、Logicool Gaming Software(LGS)とG HUBについても少し触れておこう。どちらもロジクールの周辺機器を管理/設定するためのソフトウェアで、LGSの後継としてG HUBがリリースされている。筆者はこれまで、G600だとG HUBはカスタマイズ面などで使い物にならないと思っていたため、長らくLGSを愛用していた。 今回この記事を執筆するにあたり、G600を使い始めてから何年も経っているのでG HUBでも設定は問題なく行なえるのではないかと、改めてG HUBを試してみた。 結果、少なくとも筆者が普段使用しているキー割り当てなどの設定は問題なく行なえた。しかし、割り当てたキーが正常に動作しない現象が時折見られたため、現時点でもG600とG HUBの相性はあまり良くないと思われる。特に問題がなければ、サポートが続く限りLGSを使用するのが無難かもしれない。 ■ 12サイドボタン搭載のG600なしでは生きられない 筆者にとってG600は、ほぼ完璧と言えるほど完成されたマウスであり、根本的な改良は不要だと考えている。しかし、現代のトレンドや利便性を考慮するならば、無線接続への対応やケーブルの着脱式化は歓迎すべき進化だろう。 一方で、改良により価格が上昇するのであれば、無理に改良してほしくないというのが率直な感想だ。人によっては本体サイズが大きすぎるといった声もあるだろうが、この完成されたボタン配置やデザインといった基本設計は維持してほしいと切に願っている。 余談だが、以前G600の代替品となる多ボタンマウスとして、REDRAGON「M990-RGB(M990)」やRazer「Naga X」を試用したことがある。しかし、結局G600の使いやすさを再認識し、元の環境に戻った。 筆者にとってはG600が最強であり、なくてはならないデバイスだが、決して試用した2製品が悪かったわけではない。Nagaシリーズの方がG600よりも最強だと思うユーザーもいるだろう。結局のところ、長年使い慣れた道具への愛着や、新しい操作体系に慣れるためのコストが影響して、最初に親しんだ多ボタンマウスを最強と感じるのだ。 とはいえ、筆者的にはG600が最強だと思うユーザーが増えてくれれば増えてくれるほど、これからもG600が販売され続ける可能性が上がって助かるので、多ボタンを活用する用途がイメージできる方は是非G600を購入してみてほしい。 多ボタンマウスに興味がある、あるいはPC作業の効率を大幅に向上させたいと考えているなら、G600は間違いなく最良の選択肢の1つとなるだろう。
PC Watch,浅井 淳志