神戸のJ1連覇に尽力 周りをいかすマルチローラー・広瀬陸斗「来年からもタイトルを取り続けないと」
サッカー・J1の2024シーズンを制し、クラブ史上初となるJ1連覇、そして、天皇杯とあわせた国内2冠を達成した、ヴィッセル神戸。昨年に続き、今年も新たに加わった選手の活躍が目立ちました。その1人が、DF広瀬陸斗選手です。 ゴラッソを決めたときのヴィッセル神戸DF広瀬陸斗選手 水戸ホーリーホック、徳島ヴォルティス、横浜F・マリノス、鹿島アントラーズと渡り歩き、今シーズンからヴィッセルの一員となった広瀬選手。草創期のJリーグで活躍した広瀬治氏(元浦和レッズ)を父に持つ、サッカーIQの高い背番号23は、J1リーグの開幕戦で途中出場、第3節からは4試合連続で先発。第6節試合中での負傷で一時離脱するも、第15節で復帰すると、その後は常に試合に絡み続け、J1では27試合、JリーグYBCルヴァンカップ1試合、天皇杯4試合、AFCチャンピオンズリーグエリート4試合に出場。スタメンとしても、ベンチからでも、コンスタントに役割を全うしていきました。 DF登録ですが、左右のサイドバックだけでなく、中盤の一角や、ウイング的なポジションまで、マルチロールにこなし、チームのコネクター的な存在として、攻守に活躍したところも見逃せません。クリムゾンレッドでの初ゴールは第22節サンフレッチェ広島とのアウェイ戦。コーナーキックの流れから巧みな右アウトボレーで勝ち越し弾を決めました。さらに、第30節、ホームでのセレッソ大阪戦での決勝点となったミドルシュートも、サポーターに鮮烈な印象を残しました。 そして、J1連覇を決めた最終節(第38節)の湘南ベルマーレ戦でも、彼の存在は大きなものに。先制点のシーンにそれが表れていました。武藤嘉紀選手のヘディングシュートがGKに弾かれてポストに当たったところで、身体を張ってつめたのが広瀬選手。そのつぶれ役があったからこそ、宮代大聖選手のゴールにつながりました。 「リクトのうまさや賢さ、気の利いた攻守の動き、それによって宮代がいきてくるし、今シーズン自分が相手によって使い分けていた戦いの1つでもある」と、試合後の会見で湘南戦での広瀬選手の役割を評価した吉田孝行監督。「本当に周りをいかすのが上手い選手で、本当に神戸にきてくれてこの優勝に大きく貢献してくれた1人」と彼を絶賛していました。 指揮官の求めた役割を、淡々と、忠実にこなした、広瀬選手。試合後のメディア対応にも応じ、「満員で後押ししてくれて、ここ最近前半の勢いがなかったが、勢いを出させてくれた」と、まずはホームに集ったクリムゾンレッドサポーターに感謝。試合については、「今までこのチームでやってきたことを今日は出すだけだったので、今日はそれが出たかなと思う」と振り返りました。 吉田監督率いるヴィッセルのサッカーについては、「相手をちゃんと分析してくれて、それを自分たちに落とし込んでくれるというところが、まず大事なこと。それが浸透していったのが良かったかなと思う。あとは一人ひとりの守備の強度。そういう強度の部分がないと、攻撃もそうだが、やっぱり試合には出れないと思うので。みんながそういう高い基準でできたことが、いい効果が生まれて、そういう(J1連覇&国内2冠の)結果になったと思う」と冷静に分析。 「優勝しないと意味がない」という思いでヴィッセルに加わった広瀬選手。その言葉を具現化し、今シーズン、2冠の立役者の1人となりました。 「(優勝できたのは)うれしいことだが、またここから強い神戸にするため、来年からもずっとタイトルを取り続けないといけない。今年中は満足しつつ、また来シーズンが始まったらもう1回気を引き締めて、またチャレンジャーという気持ちで1試合1試合戦っていきたい」と、勝ってかぶとの緒を締めていたクリムゾンレッドのオールラウンダー。すでに来シーズンのJ1での3連覇、そして、アジア制覇へ思いをはせる、ポーカーフェイスの仕事人に、今後も期待せずにはいられません。
ラジオ関西