2024年12月から「職場に知られずiDeCoを始められる」と聞きました。45歳・年収500万円の会社員ですが、iDeCoに加入した場合「節税効果」はどの程度ありますか?
個人型確定拠出年金(iDeCo)は自分が拠出した掛金を自分で運用し、資産を形成する年金制度です。掛け金が全額所得控除となるため節税効果があり、投資信託などのリスク型商品だけでなく、元本確保型の商品(定期預金・保険商品)での運用も可能などの特徴があります。2024年12月、iDeCoの制度が一部改正されました。 本記事ではiDeCoの改正内容や、45歳で年収500万円の会社員の節税効果について解説します。 ▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
2024年12月のiDeCo改正のポイント
これまでは会社員や公務員の人はiDeCo加入手続き時に勤務先に申請し、事業主証明書を入手する必要がありました。しかし2024年12月より、個人口座から掛金を拠出する場合、勤務先に申請することなく、iDeCoに加入できるようになりました。 また確定給付企業年金(DB)などの他制度の情報についても、iDeCoの実施機関である国民年金基金連合会が確認できるようになったため、証明書の発行だけでなく、事業主による年1回の現況確認も廃止されます。 またDBなどの他制度や企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入している人のiDeCoの拠出限度額は月額1万2000円から最大で月額2万円まで引き上げられました。 ただし、iDeCoの掛け金と事業主の拠出額(各月の企業型DCの事業主掛金額+DBなどの他制度掛金相当額)の合計を月額5万5000円の範囲内に収める必要があります。そのため、事業主の拠出額が3万5000円を超える人は、その分だけiDeCoの拠出限度額は2万円から減ることとなります。
年収500万円の会社員の節税効果は
45歳で年収500万円の人が毎月1万2000円、2万円の掛け金額でiDeCoを利用した場合の節税効果を、iDeCo公式サイトのかんたん税制優遇シミュレーションを用いて計算してみました。 結果としては、掛け金額が1万2000円の場合、節税額は1年間で2万8800円、掛け金額を2万円にした場合の節税額は4万8000円となりました。 これまでiDeCoを利用していた人も今回の改正で掛け金を1万2000円から2万円に引き上げると、年収500万円の人は年間で2万円ほど節税できる額が増えます。仮に毎月の掛け金を65歳までの20年間継続した場合、節税額の合計は掛け金1万2000円の場合は約58万円(2万8800円×20年)、掛け金2万円の場合は96万円(4万8000円×20年)となります。 また65歳時点での積立総額は掛け金1万2000円の場合は288万円、掛け金2万円の場合は480万円となります。 iDeCoは年収が高い人ほど節税効果が大きくなりますし、受け取り時に公的年金等控除や退職所得控除も利用可能です。 退職金が少ない会社に勤めている人や転職を繰り返して退職金が少ない人、公的年金の受け取りが少ないと見込まれる人の場合、iDeCoによる節税効果は受け取り時にさらに大きくなると考えられます。