「こころが男性どうし」の“ふうふ”が作る新たな家族の形「実はいま、きみちゃんは妊娠中で…」子どもの笑顔を守る共感の輪
実は報告があって
9月15日に行われた、レインボープライド。 わたしは会場で、ベンチに腰掛けてみぃくんに話しかけるきみちゃんを見つけました。「お久しぶりです」と声をかけると、きみちゃんは小さく会釈をして微笑んでくれました。
きみちゃんは去年のパレードには急な体調不良で参加できなかったので、みぃくんと参加するのは今年が初めてです。 みぃくんはシャボン玉を飛ばすのに夢中。フィナーレの「バブルリリース」で使うためのものでしたが、その前に、シャボン玉液を使い切ってしまい、ちかさんは新しいものを買いに行っているところでした。 15分ほど経って、ちかさんが戻ってきました。わたしの姿を見つけると「すみません…!お久しぶりですね」と優しく声をかけてくれました。 ちかさんはきみちゃんに、小声で話しかけます。 「あれ、言ってもいい…?」 きみちゃんは、小さくうなずきます。
「実はいま、きみちゃんは妊娠中で、3月にうまれるんです」 ちかさんの報告を聞いて、きみちゃんは照れたようにうつむきながら、小さくうなずきました。 取材を始めた3年前は「子どもを持ちたい」という2人の選択に対し「子どもがかわいそう」という心無い言葉が投げかけられることもありました。 しかしいま、きみちゃんとちかさんの近くで、みぃくんは笑顔で幸せそうに走り回っています。そんな3人の様子を見て、「お子さんかわいいですね」「テレビで見ました、応援しています」と、声をかける人もいます。 「ありがとうございます」と晴れやかな顔で答える2人の姿は、頼もしく見えました。
男性どうしの“ふうふ”として、自分たちらしい家族をつくる2人。まわりの人からの応援が、2人を励ますことにつながっているのだとしたら、みぃくんの笑顔を守るのは、わたしたち社会全体からの目線であるのかもしれません。 (HBC北海道放送 泉優紀子)