連載・季節の賞翫(しょうがん)飾り花 宿り木──冬のエバーグリーンを愛でる
宿り木はビャクダン科の半寄生植物で、古来、日本に生息する万葉の植物としても認知されており、榎、橅(ぶな)、水楢(みずなら)、欅や桜など落葉広葉樹の幹や枝に寄生し繁茂することに由来して、和名は「寄生(木)」とも綴ります。また、「ほや」、「ほよ」などという古名もあるそうです。寄生する木の種類により効力が異なると聞きますが、日本でも西洋と同様に、古くから神聖な植物とされ、薬効があり、不老不死や永遠の命、生命力の象徴ともされている植物です。 宿り木の花言葉は、「忍耐」「困難に打ち勝つ」とのこと。一年の締めくくり。やがて来る新しい一年も気持ちを強く保ち続け、自他ともに健康に幸せでありますように……と心を込めて仕上げました。
岡田 歩(おかだ・あゆみ)
造花工藝作家 物を作る環境で育ち幼少期より緻密で繊細な手仕事を好む。“テキスタイルの表現”という観点により、独自の色彩感覚と感性を活かし造花作品の制作に取り組む。花びら一枚一枚を作り出すための裁断、染色、成形などの作業工程は、すべて手作業によるもの。 URL:https://www.ayumi-okada.com 撮影協力/六雁