「どこにいるんだ、亮太…」 御嶽山の噴火で行方不明になった家族を探して10年 自費で捜索を続ける父と叔父の変わらぬ思い
雄大な自然が広がる御嶽山で、懸命に家族を探し続ける人がいます。2014年9月27日に発生した御嶽山の噴火で家族が行方不明になりましたが、長野県などによる大規模な捜索では見つからず、山に登り続け、当時の記憶を呼び起こしながら探し続けています。噴火から10年という区切りを迎えた今年、被災者家族による「山びこの会」は捜索の打ち切りを発表しましたが、山岳捜索のプロと共に、家族は再び険しい谷へ向かいました。家に連れて帰りたい。その一心で、懸命に探し続ける家族の10年の記録です。
10年前の御嶽山噴火で19歳の息子が行方不明に…
“戦後最悪”といわれた御嶽山の噴火。発生翌日から大規模な捜索活動が始まりましたが、そこで目の当たりにしたのは、現実とは思えない、あたり一面火山灰が降り積もった別世界でした。 死者58人。そして、今も5人が行方不明のままです。
愛知県刈谷市に住む野村亮太さん(当時19歳)も、行方不明者の一人。当時、父・敏明さんは連日長野に通い、亮太さんの帰りを待ち続けていました。 亮太さんの父・野村敏明さん(64): 「待機所でずっと待ち続けて、日がたつにつれてだんだん人が減って。発見された人の家族は帰っていくから。最後まで残されて、結局見つからず」
御嶽山の噴火は剣ヶ峰山頂付近で発生。その近くにある「八丁ダルミ」という登山道で、亮太さんは噴火に巻きこまれました。 当時、一緒に登山していた叔父・正則さんによると、噴火に気づき、山小屋を目指して二人は必死に走りましたが、亮太さんが落とした携帯電話を拾おうと正則さんが少し引き返したわずかな隙に、噴煙で視界が遮られ、亮太さんとはぐれてしまったといいます。
亮太さんの叔父・野村正則さん(61): 「10年間、まだ未だに亮太を待たせているという思いが、私にとっては一番本当につらい。亮太にとっては申し訳ない」 噴火が起きた2014年は、二次災害の危険があることから10月に捜索を打ち切り。翌年、再開されますが、5人の行方不明者を残し、すべての捜索が終了したのです。