KUZIRA、大麻所持で有罪判決 「たくさんの愛を受けた、音楽で返す」看護師辞めバンドに専念
自宅などで大麻草を所持したとして、大麻取締法違反(所持)の罪に問われたミュージシャン末武竜之介被告(29)=岐阜県多治見市光ケ丘=の判決公判で、岐阜地裁多治見支部(細野なおみ裁判官)は19日、懲役1年、執行猶予3年(求刑懲役1年)を言い渡した。 細野裁判官は判決理由で「薬物に対する親和性が認められ、被告人の刑事責任は軽くない」と指摘。一方で反省の態度を示し、二度と大麻を使用しないよう医療機関のカウンセリングを予定していることなどから「被告人に有利な事情も認められる」と述べた。 判決によると、今年4月と8月、土岐市や多治見市内で、大麻草を所持した。
◆看護師と親の介護も…頼ったのは大麻、代償大きく全ライブキャンセル
「大麻を含め薬物は繰り返してまたここに来る方は正直多い。そうならないように気を付けられますか」。細野なおみ裁判官からこう問われた末武竜之介被告は真っすぐ前を向いて「はい、気を付けます」と答え、判決が言い渡されると深々と頭を下げた。 看護師として働きながらバンド「KUZIRA」ではボーカルとギターを担当。作詞作曲も担うなど中心として活動してきた。数年前には父親がアルツハイマー型認知症を患い、介護も必要になった。「心身の疲弊もあり、夜眠れないことも多かった」 そこで頼ったのが大麻だった。「気を紛らわせたい、夜ぐっすり眠りたい」。そんな思いから犯罪に手を染めた。 逮捕を受け、バンドは年内に予定されていたライブを全てキャンセルするなど多大な損害を被った。末武被告は被告人質問で「社会的責任があり、すごく影響が大きいと思った」と声を振り絞った。 現在は看護師の仕事を辞め、バンド活動に専念する。公判後に取材に応じた末武被告は「たくさんの愛を受けたので、それを音楽で返すだけ」とファンへの思いと今後の決意を語った。「僕には音楽しかない。それが自分の使命だと思う」 (杉原康仁)
岐阜新聞社