訪れた突然の別れも…いつかは「札幌の監督で」 縁もゆかりもない北海道を愛した理由【インタビュー】
札幌を退団する駒井善成が描く監督像「僕は比較的、守備も好きなんです」
北海道コンサドーレ札幌を今シーズン限りで退団するMF駒井善成が、7年間を過ごした北海道への愛着と、今後のキャリアについて語った。12月7日に発表された契約満了は大きな話題に。そんななか、いつかは指導者として帰ってくるというプランも明かした。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・工藤慶大/全4回の1回目) 【実際の映像】駒井善成の息子に大反響 「お父さんそっくり」の愛息の姿 ◇ ◇ ◇ 「契約を結ばないとなったとき、やっぱり寂しい気持ちはありました。やっぱり7年間過ごして、自分のことをいろんな人に札幌で知ってもらって、応援してくださったので、本当に寂しい気持ちはありますけど、これも人生というか、サッカー選手としての宿命だと思うので、前を向いて行きたいなと思います」 2011年に地元の京都サンガF.C.でデビューし、浦和レッズを経て2018年に加入。「北海道と言ったら雪、寒いというイメージ。北海道の人以外は、全国民そうだと思うんです。でも北海道に来て、人の温かさであったり、食べ物が美味しいとかありきたりなんですけど、本当に生活がしやすかった」と振り返る。 縁もゆかりもなかった地を愛した理由は、3人の子どもを育てたこと。「緑がすごく多くて、いろんな景色を見に行ったりとか、自然と触れ合える機会が多かった。そういうところが僕の中では、些細なことなんですけど、子育てにはすごく最高なところだった」。そして将来的に帰ってくる未来も描いている。 「選手としてはたぶん戻ってくることはもうないだろうけど、僕は指導者としてサッカー界に関わっていきたいなと思っているので、もしご縁があれば、もしかしたら札幌の監督、コーチであったりとか、そういう風に関われることがあるかもしれない。そうなれば、ぜひオファーもらえればといった感じです」 ミシャことペトロヴィッチ監督と出会う以前から、引退後には指導者を志していたという駒井。「やっぱり自分はサッカーが好きで、サッカーなしの人生は、自分の中では考えられない」。そのような思いで日々プレーするなか、ミシャからも「引き出しを多くもらったかなと思います」と感謝の言葉を述べる。 そこで気になるには、どのようなサッカーを目指すのか。ミシャの攻撃的スタイルを受け継ぐかと思いきや、「もちろんそういうサッカーはしたいですけど」とした上で、「でも僕は守備も大事じゃないとダメだと思っている。両方しっかり整った、見ていて楽しいサッカーを掲げてやりたい」と笑顔を見せた。 欧州サッカーも見て研究しているといい、特にアルネ・スロット監督が率いるリバプールを「本当に素晴らしいと思います」と絶賛する。また、守備がうまく機能せず苦しんだ今季の序盤戦には、ピッチ上で悪戦苦闘。自身がうまくバランスを取りながら、ほかの選手にもポジショニングを指示する姿が目立った。 「なかなかうまくはいかなかったですけど、そこは気にはかけていて。自分はボランチに入ればバランスを見るタイプですし、シャドーに行ったら得点を取る。そういうチェンジの仕方は意識している。僕は比較的、守備も好きなんですよ。相手からボールを取ったり、人を動かしてボールを刈り取るというか」 そんな未来を描きながらも、現役選手としての自信はまだまだ「全然あります」と力強い。1試合での走行距離はJ1でもトップクラスというデータもあり、「走れないこともないので。今まで行っていた1歩が出なくなれば引退しようかなと思いますけど、それが出るまではやりたいなと思います」と宣言した。 目標として掲げるのはプロ20年目となる38歳。それを達成するために新天地を探す。「皆さんをいい結果で喜ばせてあげることができない7年間で、すごく悔しい思いをたくさんさせてしまった。それでもたくさんの愛情を注いでくれたことに本当に感謝しています」。多くの思い出を胸に次のステップへ進む。
FOOTBALL ZONE編集部・工藤慶大 / Keita Kudo