続く余震「車中泊」の悲劇どう対応? 熊本地震の教訓「7つの備え」(下)
「震度7」が熊本県を直撃した熊本地震の発生から半月。大分県を含む九州各地では今も余震が続き、数万人の避難者が不安な日々を過ごしています。一方、次の災害はどこで起こるか分かりません。今回の震災は都市部にも山間部にも、さまざまな課題や教訓を突き付けています。現場で目の当たりにした被害や被災者の生の声、そして専門家の意見に学び、熊本の人たちと気持ちをともにするという観点で「今すべき備え」を7つにまとめてみました。前編の「耐震化をイチから総点検」「『1週間分』の備蓄品を本気でそろえる」「ネットを駆使し、紙でも伝達」に続き、残り4つのテーマです。(関口威人/Newzdrive) 【写真】2度の「震度7」や届かない物資……熊本地震の教訓「7つの備え」(上)
【4】「道の駅」の災害拠点化もっと
今回、最も深刻な課題の一つとなったのが「車中泊」。長時間、同じ姿勢で座り続けることで肺に血栓が詰まる、いわゆる「エコノミークラス症候群」で何人もの方が亡くなりました。新潟県中越地震でも警告された悲劇がまた繰り返されたことには、本当に心が痛みます。 私も2晩だけですが車中泊をしました。寝袋やエアー枕などを用意し、できるだけ姿勢を固めないよう意識したにもかかわらず、なかなか寝付けず、朝は首や腰がコチコチ。何も用意できなければさらにつらかったのは間違いありません。しかし、「余震が怖くて家に戻れない」という避難者の車で「道の駅」の駐車場は満杯でした。 その道の駅。もともとは道路利用者へのサービスや地域の特産品の販売拠点として1993年から整備が始まりました。全国700か所以上が登録されていた2004年の中越地震や、1000か所近くになっていた東日本大震災で「防災拠点」としての機能に注目。非常用電源や仮設トイレなどが備えられるようになりました。国土交通省の昨年1月時点のまとめによると、全国1040駅中、何らかの防災設備を有しているのは631駅。今回も熊本県内の道の駅「大津」や「阿蘇」で仮設トイレが設置され、「きくすい」は緊急の給水場になりました。 しかし、逆に言えばまだ4割近くの道の駅は防災対応をしていません。これは「川のすぐそばにある」「ハザードマップに入っていて避難所の役割が果たせない」といった立地上の制約をはじめ、「行政との協定がなく、災害発生時の駅長の権限や経費の受け持ち先が決まっていない」など制度上の問題点もあると、京都大学の調査で指摘されています。 「道の駅に行けば何とかなる」と考える被災者は多く、その期待に応えるためにも課題を洗い出し、さらに整備を進めてほしいものです。