まるで彫刻のよう!海岸の先端に佇むダイナミックなコンクリート造の別荘。手つかずの自然のなかで生き抜く重厚かつ美しい住まいを拝見
建て主が週末のくつろぎのために探し当てたのは、半島の先端の海に臨む土地でした。そこは開発済みのリゾート地でも別荘地でもありません。人の作為やデザインが及んでいない“無垢”の土地。その場所にふさわしい住まいのあり方を、建て主と建築家が探っていきました。 【写真10枚以上】眺めているだけで良い気分――有名建築家が手掛けた圧倒的な建築美の家をのぞき見
求めたのはステータスではなく、根源的な自由
この住宅には“前史”があります。建て主とマウントフジアーキテクツスタジオの原田真宏さんと原田麻魚さんは、当初こことは別の海辺の別荘地で、週末住宅を計画していました。 「しかし私たちも建て主も何か違うという感覚が抜けなかった」と原田真宏さんは振り返ります。 「その土地は指折りの別荘地で、建築の意匠を競うように別荘が立ち並んでいました。その仲間入りをするのかと考えたとき、躊躇するものがあったんです。我々が求めていたのは、ステータスとしての別荘ではなかったからです」 設計作業を中断し「もっといい土地を探して連絡する」という建て主と別れて1年後、約束の電話がかかりました。「とうとう見つけた」と。
見つけたのは半島の先端にある海沿いの”荒地”
の土地は海に突き出した半島の先端、小さな入り江に臨んでいました。一帯は工業地帯で小規模の造船所やオイルタンクがある以外、人の手は入っていません。 むき出しの岩や断崖が海からの風に吹かれている、いい意味の“荒れ地”でした。 「建て主の“眼力”に敬服しました。デザインという人の意図が介在していない無垢の土地です。私たちがここで試みたのは、できるだけ作為を排して、ラフでダイナミックな地形の一部になるような建築でした」 ときに荒々しい表情を見せる海から生活を守るために、地盤を4m上げ、そこにL字形のコンクリートの構造物を構えました。
この土地の光と風とあるがままの風景のなかで暮らす
その土地は海に突き出した半島の先端、小さな入り江に臨んでいました。一帯は工業地帯で小規模の造船所やオイルタンクがある以外、人の手は入っていません。むき出しの岩や断崖が海からの風に吹かれている、いい意味の“荒れ地”でした。 「建て主の“眼力”に敬服しました。デザインという人の意図が介在していない無垢の土地です。私たちがここで試みたのは、できるだけ作為を排して、ラフでダイナミックな地形の一部になるような建築でした」 ときに荒々しい表情を見せる海から生活を守るために、地盤を4m上げ、そこにL字形のコンクリートの構造物を構えました。