【プレミアEAST】目の前での優勝を阻止し、川崎U18が1‐0で柏U18を下し5位で終了川崎U18を動かす原動力とは
12月8日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ2024 EAST最終節が行われ、川崎フロンターレU-18(神奈川)と前節終了時点で得失点差で首位に立った柏レイソルU-18(千葉)が対戦した。 【フォトギャラリー】 川崎フロンターレU-18 vs 柏レイソルU-18 試合は前半37分、川崎U18はDF2柴田翔太郎(3年)のクロスにFW17 恩田裕太郎(2年)が頭で決め先制。これが決勝点となり川崎U18 が1‐0で制し、勝点を「35」に伸ばし、5位でフィニッシュ。 一方、敗れた柏U18は惜しくも3位で今シーズンを終えた。柏U18の藤田優人監督は「普段、できていたことができませんでした。(優勝争いで)これまで追いかけられる経験がなかったので、メンタリティーの部分もあったと思います」と敗因を述べた。 長短織り交ぜ、攻めに出る川崎U18。そして中盤のMF10戸田晶斗(3年)や流動的に動くFW9ワッド モハメッド サディキ(3年)を起点にカウンターを仕掛ける柏U18。序盤は互いに持ち味を出しながらもゴール前では徹底した守備で跳ね返し、双方、チャンスらしいチャンスを与えない、一進一退の攻防。前半37分、川崎U18の得点シーンは前半唯一といっていい決定機。そこを抜け目なく首尾よく決めた。 ライバルチームの動向が気になる柏U18は追いつきたいところ。しかし、重圧なのか、個人技に頼るあまり攻撃は単騎が多く、先細りに。その逆手を取った川崎U18が後半、旺盛に攻めた。後半14分、FW17恩田のパスを受けたFW9香取武(3年)がGK強襲のシュート。16分にはFW9香取からFW17恩田がシュート。20分にはカウンターから、27分にはスローインからMF8知久陽輝(3年)がチャンスを作った。シュート数は柏U18の3本に対し川崎U18は10本。後半は柏U18の2本に川崎U18は8本と圧倒的に攻めた。また川崎U18 のCKは7回。そのうち、後半は6回と押し込んだことがわかる。とはいえ、後半、無得点だったが、ここまで好機を作れたのは堅守が担保となったから。 「レイソルさんのビルドアップがものすごく考えられていて、捕まえづらく、(柏U18の)選手のあいだでしっかり共有されていた印象でした」と川崎U18長橋康弘監督。しかし対策は十分。「(川崎U18の選手間では)うまくいかなかったときは、「こうしよう」という打開策を持っていた分、うまくいきました。早い段階から最終ラインを5枚あるいは6枚にして(柏U18が)やりたいところで必ず人がいくようしました」と柏U18攻撃陣に前を向かせなかったことが大きい 主将のDF5土屋櫂大はシーズン序盤、ゴール前の守備の脆さが課題だったが、最後の試合とあってか、よりソリッドだった。「最終ラインの選手やGKも同様、みんなが絶対に失点させないという思いを全面的に出していたのが大きかったです。いままでやってきたことが今回の試合で出て、無失点で終えることができました」と語った。 トップチームの影響か、攻撃の印象の強い川崎U18。しかし失点数は12チーム中、横浜FCユースの「23」、青森山田の「24」に続く3番目の少ない「27」。数字が堅守を物語っている。とともに、絶対に目の前で優勝を決めさせない、その気概が相手を上回ったともいえる。 本筋から逸れるが、取材をして感じられるのは3年生の仲の良さ。「(3年生は)めちゃめちゃ仲が良いです」と絶賛の長橋監督。DF5 土屋は「チームの絆がめちゃめちゃ深く、ひとりひとりが仲間のために走れる選手ばかり。仲間と戦える最後の試合を楽しんで悔いのないようにかみしめながら、勝つことを意識しました」と言えば、「仲の良さはジュニアユース(川崎U15)のころから」と明かしたDF2柴田。 「人数が多いと、どうしてもグループができやすいですが、(川崎U15時)23人全員で移動して、ずっとみんなでいました。川崎U18に上がって人数は減りましたが、みんなで一緒に過ごしていて、毎日、練習に行くのが楽しかったです」と顔をほころばせた。しかし、ただの仲良しグループではない。主将のDF5土屋をはじめ、一戦引いた厳しさを敷きながら、時に嫌われ役になりながら、チームをまとめた。 「このチームが好きなんです」彼らの言葉から感じられるチーム愛にクラブ愛。これが底流を流れ、受け継がれる川崎U18の原動力かもしれない。 (文・写真=佐藤亮太)