「女子大生の力になりたい」 社会人女性がキャリアのアドバイス、結婚や子育ての悩みも
大学を卒業したあとに、どんな仕事をして、何を目指して生きていったらいいのか。将来のキャリアプランをうまく描けないという大学生は少なくないかもしれません。そこで、社会人をメンターとして活用する大学が出てきています。社会人が大学生と直接話をして、若い世代のキャリア形成を後押しするという大学の取り組みを取材しました。 【写真】女子大の「就職力」なぜ高い? ランク上位入りした学校の特徴
昭和女子大学では、社会人女性との交流を通じて学生が広い視野で将来をイメージできるように、2011年から学科や学年を問わずに全学生が利用できる「社会人メンター制度」を導入しています。女子学生がキャリアプランを思い描くうえでロールモデルとなるのが、社会で活躍する多くの女性たちです。 「メンター」とは、仕事や人生における助言者を意味します。同大学の卒業生に限らず、3年以上の就業経験がある社会人女性がメンターとして登録し、自身の経験を踏まえてアドバイスします。就活スキルを学ぶ場ではなく、長い人生を自分でデザインする力を身につけていくことを重視しています。 社会人メンターネットワーク運営委員会(以下、運営委員会)の委員長を務めるキャリア支援部長の伊藤純教授は、こう説明します。 「本学では伝統的にキャリア教育に力を入れ、著名人の講演会などを行ってきました。しかし、社会にはいろいろな生き方があり、いろいろな仕事があります。学生たちが社会人メンター制度を通して、社会人女性の生の声を聞いて多様な生き方に触れることで、仕事だけでなく、結婚や子育てというライフイベントも含めた将来のキャリアプランをより具体的に描くことができます。そして、自分なりに考えたキャリアデザインに基づいて進路選択や就職活動を進めていけるのではないかと思っています」
大学が運営する安心感
現在、メンターとして登録しているのは約360人。同大学以外の出身者が8割を占めています。ホームページで募集するほか、教員やメンター経験者からの紹介もあり、20代から70代まで幅広い世代の多彩なキャリアを持つ女性が登録しています。 「学生の力になりたいという社会人はとても多い。『自分が学生のときに社会人の話を聞けていたら、選択の幅が広がりいろんなことにチャレンジできたのではないか』という思いで応募した方もいます」と、同副委員長の飴善晶子教授は言います。 メンターは、運営委員会が応募資料の精査や個別面談を行い、経歴だけでなく、動機や熱意を確認したうえで任命しているので、安心して学生を委ねられます。 「メンターにも本学の方針を理解いただき、広い視野でキャリアを捉えるアドバイスをしてほしいということも事前にしっかり伝えています。今は社会人と会える外部の就活サービスもありますが、大学が運営するからこその安心感は大きな強みとなっています」(伊藤教授)