“吉祥の鳥”トキの繁殖で日本と中国が協力し合えるものとは?
日本の特別天然記念物トキの繁殖をめぐっては、日本と中国が技術や資金面で協力し合い、保護してきた歴史がある。東アジア情勢に詳しい、飯田和郎・元RKB解説委員長は6月20日、RKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』に出演し「環境問題は日本と中国が協力し合えるテーマの一つ」とコメントし、トキの保護がモデルケースになると語った。 【写真を見る】“吉祥の鳥”トキの繁殖で日本と中国が協力し合えるものとは? ■一次絶滅した中国で1000羽超のヒナ誕生 「ニッポニアニッポン」という、いかにも日本を象徴するような学名を持つトキ。羽を広げると見える少し黄色味がかった桃色は「鴇色(ときいろ)」呼ばれ、日本人が好む色とされる。トキは国鳥ではないが、やはり日本を代表する鳥の一つに思える。日本の特別天然記念物。そのトキに関して、先日、中国でこんなニュースが報道された。 “「中国西部、陝西(せんせい)省にあるトキ自然保護区で、今年生まれ、育っているトキのヒナは、合わせて1000羽を超えたとみられます。2005年にトキの自然保護区ができて以来、最多の繁殖数になりました」” ニッポニアニッポンの学名を持つトキだが、中国のほうが圧倒的に多い。毎年3月から6月にかけての時期がトキの繁殖シーズンだ。保護区全体、つまり人家や山林を含めた場所では、今年の繁殖シーズン、野生のトキの巣600個以上で、産卵が確認されたという。 メスのトキは1羽で2個から3個の卵を産む。そこから計算すると、ふ化したヒナ、その後、順調に産まれたヒナは1000羽という大台を超えた、と推定される。中国で一時は絶滅したとみられたトキは、陝西省だけでも現在、野生のトキも含めて7700羽まで増えた。 ■日本国内では700羽まで回復 翻って、日本のトキの保護活動はどうだろうか。先ほど、トキの羽は鴇色と称されると紹介した。その美しい羽毛を狙って、江戸時代からトキは乱獲によって激減した。 現在、新潟県・佐渡のトキ保護センターを含め、日本には全国7か所でトキを飼育している。今年は5月末まで統計によると、合わせて31羽がふ化した。残念ながら、うち3羽が死亡したので、ヒナは28羽。成鳥、つまり大人のトキは161羽。ヒナと成鳥合わせて全部で189のトキが現在、各地で飼育されている。