美筋肉の成長止まらぬ49歳、柔剛を織り交ぜたポージングで念願の銅メダル「私で合ってる?って番号を見直しちゃいました」
「やりました!めっちゃうれしいです」。開口一番、笑顔を見せた原田理香。2018年に大会初出場、7年目にしてついに日本女子フィジーク選手権(10月6日、大阪)の表彰台(3位)に到達した。 【フォト】これぞ“絞りのリカさん”、柔剛を織り交ぜたポージングを披露 昨年末より、荻島順子や澤田めぐみといった女子フィジークトップ選手が師事する本野卓士トレーナーの指導を仰ぐことになり、トレーニングも、食事もガラリと変化。夫の原田大智も以前、自身が運営するYouTubeチャンネル「レモンチャンネル」内にて、「今年はリカさんにとって、ある意味で女子フィジーク選手として本当のスタートの年」と語っていたように、結果を求める1年であった。それゆえに、初戦のジャパンオープン選手権(8月)ではトップ選手が不在の中で2位、言葉通りの悔し涙を見せた。 「今年はジャパンオープンからはじまり、9月の日本クラス別、そしてこの日本選手権というスケジュールでした。絶対優勝すると宣言して臨んだジャパンオープンが思ったような成績にならなかったこともあり、そこから自分なりに調整方法を少し変えながら、2つの大会に出ました。一種の賭け、みたいな感じではあったのですが、それがうまくいったのかなと思います」 もともとハードなトレーニングは十分に積んできたこともあり、筋量は上位選手と並んでもそん色はなかった。一方で、153cmの荻島、161cmの澤田らと比べると168cmの原田は、長身がゆえに筋量不足のように見えるときがあった。だが、「めちゃくちゃポージングの練習をしてきた」と話すように、審査員の目線を意識してポージング練習を重ね、“見せ方”を改善。予選比較審査では、荻島、澤田とともに3人でのファイナルコールが実現した。 「ファーストコールで呼ばれたときも、ゼッケン番号を見直しましたよ、私で合ってる?って(笑)。そくらい、動揺しちゃいましたね。最後に3人で並んだときでもまだ自信はなくて、表彰台に乗れるのか不安でしたけど、残ったときはうれしかったですね。もう、本当にその言葉しか出てこないです」 本人はそう謙遜するが、審査表を見ると、オール1の荻島の地位は固いものの、澤田との差はわずか。もし誰か一人の審査員が2位と3位を付け替えていれば同点というほどのものであった。決勝審査で見せたフリーポーズも、ビシッと決めるところの剛の力強さと、ポーズの合間にはしなやかに柔の美しさを織り交ぜ、過去一番の1分間を見せた。ただ、3位になって上の景色が見えたからこそだろう、向上心は止まることがない。
「トレーニングもですけど、やっぱりポージングはまだまだ足りないので、もっと練習しようと思います」 昨年7位から大幅ジャンプアップでつかんだ銅メダル。来年2月で50歳、新女王を目指し、進化の可能性は無限大だ。
文・写真/木村雄大