どうなる100m決勝。勝つのはサニブラウン?9秒台決着は?
日本記録保持者となったサニブラウン・ハキーム(フロリダ大)はやはり強かった。日本選手権の男子100m予選5組を10秒30(-0.6)で悠々と駆け抜けると、「止まった方がいいですか?」とミックスゾーンに群がっていた報道陣に逆質問して、笑顔で通り過ぎていく。その表情は自信に満ちていた。 予選の走りでいうと、小池祐貴(住友電工)と桐生祥秀(日本生命)の方がサニブラウンよりもスムーズだった。小池は1組を10秒22(-0.9)、桐生は4組を10秒31(-0.4)。しかし、サニブラウンは準決勝でしっかりと立て直してきた。 準決勝2組で10秒05(+0.1)。2着のケンブリッジ飛鳥(Nike)に0秒15という大差をつける、別格ともいえる走りで大会初日の最終レースを飾り、会場をどよめかせた。 2レースを終えたサニブラウンは、ようやく記者の前に現れた。予選の走りについては、「ピストルが早すぎて、音をしっかり聞き過ぎました。スタートから全然ダメだったので、レース的には話になりません」と苦笑い。それでも準決勝は、「またスタートで遅れたものの、しっかりまとめられたので、まずまず。やるべきことを中盤から後半にかけてできたので、ラストは何もしなくてもスピードに乗れた感じです」と中盤以降の走りに手応えをつかんでいた。 スタートの出遅れはリアクションタイムにも表れていた。サニブラウンは予選が0秒212で、準決勝が0秒180。ケンブリッジの準決勝が0秒129だったことを考えると、かなり遅い。それでも、中盤以降のスピードで他のスプリンターを圧倒した。 「10秒05」という数字は、サニブラウンが2年前の日本選手権で初優勝したときと同タイムで、2002年の朝原宣治、昨年の山縣亮太がマークした大会記録と同じ。しかし、「2年前とは走りの内容もそうですけど、気持ちの部分でも違うと思います」と中身の“違い”を強調した。 9秒台についての質問が飛ぶと、「まだ今日は出ないですね。明日やるべきことをやれば、タイムは勝手についてくるのかなと思います。スムーズかつ、しっかりスターティングブロックを蹴って、すぐに顔が上がってしまうクセがあるので、しっかり加速が続けられるように。それができればいい。ウォーミングアップから集中していきたい」とサニブラウン。大会記録の大幅短縮、9秒台での決着、9秒97の日本記録更新へ、大きな期待を抱かせた。