スーパーでは1.4倍に高騰…「新米」が入荷しても「コメが高すぎる」のはナゼか このままでは「コメ離れ」が加速する懸念も
コメ泥棒を警戒
宮崎日日新聞の記事でも、やはりコメの価格は高止まりが続いており、県内の家計を圧迫していると報道。さらに県内の産地ではコメ泥棒を警戒している様子も伝えた。すでに隣県では盗難の被害が発生しており、地元のJAでは水田の見廻りや倉庫の施錠を徹底しているそうだ。 消費者だけでなく、関係団体からも悲鳴が上がっている。北海道新聞は釧路市内で生活困窮者に食糧を無料配付する市民団体が苦境に陥っていることを報じた。エンゲル係数のところで見たように、相次ぐ食品の値上げに困っていたところ、コメの高騰が追い打ちをかけた。 地元食品業界の苦慮を伝えたのは石川県の地元紙である北国新聞だ。北信越の名物とも言われる笹寿司は全国的な知名度を誇るが、地元の有名店がコメの高騰に耐えきれず、値上げを決定したことを報じた。 さらに金沢カレーも全国的な人気を誇っており、ご存知の方は多いだろう。チャンピオンカレーやゴーゴーカレーは日本各地で展開している。北國新聞は両社に取材し、コメの仕入れ値が徐々に上昇していると伝えた。しかしながら値上げの決定は難しいようだ。 農家を取材してきたライターは「コメの販売価格が高騰しても、恩恵にあずかれない農家も少なくありません」と言う。
儲かっていない農家
「ある農家の男性は、私の取材に『一部の報道機関は「農家は儲かっている」と記事にしているけど、それほど買い取り価格は上がっていない』と明かしました。理由は『等級検査が不透明だから』です。コメは玄米の目視で一等米、二等米、三等米、規格外米に分類されます。ところが一等米と二等米の食味は、それほど変わらないという意見は根強いのです。本当にコメ農家の収入を増やしたいのなら、全部一等米にすれば手っ取り早い。ところが実際は不透明な検査プロセスで二等米などに判定されてしまう。結果、消費者はコメ高騰に苦しんでも、収入はさほど変わらない農家も多い。利益を得ているのは一体、誰なのかという疑問はあちこちで聞きました」 Xでは「こうなったらコメは買わない。1キロ300円台のパスタを主食にする」といった内容の投稿も少なくない。素人がウケ狙いで投稿したと思う向きもあるだろうが、実はプロも同じことを懸念しているという。 「農家の皆さんや精米店の方々も、『確かに5キロ3500円は高い』と消費者の悲鳴に理解を示しています。さらに小売店の関係者の中には『すでにコメの買い控えは始まっている』と指摘する人もいます。何よりも重要なのはコメの生産者が高齢化し、どんどん減少していることです。コメの価格が上昇しても農家は潤わず、コメの買い控えだけが進めば、コメを作る人は誰もいなくなります」(同・ライター)