ドライバーの次は優秀な技術者を育成へ。ウイリアムズF1、日本のコマツとともにエンジニアアカデミーを開始
F1チームは若い才能にますます投資を行うようになっているが、それはキャリアの初期段階にあるカートの若いドライバーをサポートするだけにとどまらない。最近、モンツァで行われたイタリアGPでは、メルセデスのトト・ウォルフがチームの人材発掘担当者らの働きを称賛し、「彼らがいなければ、わずか11歳だった(アンドレア・)キミ・アントネッリを見つけることはできなかっただろう」と説明した。 【写真】コマツ大阪工場を訪問したアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ) 近年では、次のエイドリアン・ニューウェイ探しも始まっている。F1チームは、他のチームからエンジニアを引き抜くのに年間数百万ドル(約数億円)を払うのではなく、優秀な若いエンジニアを雇い社内の雰囲気のなかで育てることが優れた投資となることに気がついたのだ。 最新の例では、ウイリアムズがスポンサーのコマツと共同で、エンジニア育成プログラム『コマツ・ウイリアムズ・エンジニアリングアカデミー(KWEA)』の立ち上げを発表した。チームの発表によると同プログラムは、STEM(科学、技術、工学、数学)の学生を選抜し、「彼らの教育における旅を通じて、比類のないメンターシップとサポートを提供する」ものだという。 またF1の古豪は声明で次のように説明した。「2025年に向け、アカデミーは10人の有望なSTEM学生に、エンジニアリングおよびモータースポーツ業界でのエキサイティングなキャリアへのユニークな第一歩を提供する。アカデミーに参加することで、学生はコマツとウイリアムズ・レーシングの専門知識とリソースを組み合わせて活用し、貴重な経験と洞察を得ることができる」 「アカデミーの最初の学生グループは、STEM教育の推進に専念する主要非営利団体『F1 in Schools』との協力の下で選抜される。今年11月にサウジアラビアで開催される2024年の『F1 in Schools World Final』に参加する16歳以上の学生は、アカデミーの評価センターへの応募資格を得る。ウイリアムズとコマツは共同で、応募者を第1期生となる10人の幸運な学生に絞り込むことになる」 ウイリアムズは、プログラムに参加する学生にとっての利点として「早期キャリアの機会、ウイリアムズ従業員のメンターシップ、オンライン学習プラットフォーム、他では得られない独自の体験」を挙げている。 チーム代表のジェームズ・ボウルズは、「バックグラウンドに関係なく、もっとも優れた最高の才能を発掘して育成することに、私は強い思いを抱いている」と述べる。 「我々には、未来の世代に投資し、彼らが成功できるよう支援する義務と責任がある。キャリアが始まるときにチャンスを与えられた者として、それがどれほど強力なものであるかを私は知っている。このアカデミーは、ウイリアムズとコマツの両社が、我々の組織の基盤となる未来の才能を見つけるのを助け、両者が共有する信念を示すものだ」 コマツの小川啓之社長兼CEOは次のように付け加えた。「コマツは、創業から100年以上、未来の世代を育成する取り組みを続けてきました。世界各国に、エンジニアリングと技術に携わる数千人を含む約6万4000人の従業員を擁するグローバル企業として、私たちの業界の継続的な発展を支えるために、新しい世代の才能を育成することが私たちの使命だと考えています」 「この重要な取り組みにおいて、ウイリアムズ・レーシングと協力し、学生たちのSTEMキャリアに向けた成長を支援できることを誇りに思い、未来に大いに期待しています」 [オートスポーツweb 2024年09月11日]