怠惰や無能ではない…内なる完璧主義が原因に 「先延ばし」をどうしてもやめられない人の頭の中
もっとも、洗濯物を片づけて得られる満足感はほんの一瞬で消えてしまいます。そしてあなたは、本当にしなければならない仕事の方はまったく進んでいないことに気づくのです。 自分の行動パターンが、計画的な先延ばしのように適応的なものか、それとも不適応なものかを見分ける簡単な方法があります。それは、次のように自問することです。 「これは自分にどう役立つだろう?」 あるタスク(メールが届いたらすぐ返信するようなこと)を前にして、少しでも躊躇するようなら、そのタスクは他の人が片づけてくれる可能性が高いでしょう。あなたはそれを放っておいていいのです。ハイテクが生活の邪魔になっていることを、私たちはしばしば話題にしますが、「これは自分にどう役立つだろう?」と自問すれば、すぐ返信する性質が自分の役に立っているのか、それとも、スモール・トラウマから目を逸らすために忙しくしているだけなのかが見えてきます。
そう自問することは、目標に追われる社会に生きる誰にとっても有益であり、完璧主義と先延ばしが自分のプラスになっていないことを教えてくれます。実のところ、このスモール・トラウマの症状は燃え尽き症候群につながりやすいので注意が必要です。 ■燃え尽き症候群の兆候 2019年、「燃え尽き症候群」が世界保健機関(WHO)の健康と病気のバイブルである「疾病及び関連保健問題の国際分類」に初めて記載されました。つまり、燃え尽き症候群はごく最近になって、ようやく公式に認められたのです。奇妙に思えるかもしれませんが、目に見えない病気にはよくあることです。 医学と実践の歩みは遅く、人々の経験に追いついていないのです。
燃え尽き症候群は、「健康状態に影響する因子」のカテゴリーに記載されていますが、それは決して誇張ではなく、私が診察した人の中には回復までに何年もかかった人や、関連するさまざまな健康問題を抱える人、仕事や人間関係や生活の基盤を失った人がいました。 WHOは燃え尽き症候群を職場のストレスと関連づけていますが、他にも、皆を幸せにしようとする、他人の期待に応えようとする、環境との相性が悪い、など、燃え尽き症候群の原因は無数にあります。したがって、深刻な健康問題が生じる前に、この症候群の兆候に気づくことが大切です。