怠惰や無能ではない…内なる完璧主義が原因に 「先延ばし」をどうしてもやめられない人の頭の中
■先延ばしは怠惰や無能ではない 先延ばしについては、「~ではない」と表現した方がわかりやすいでしょう。先延ばしは、怠惰でも、 下手でも、無能でも、無関心でもない。むしろ、その逆です。先延ばしにする人は往々にしてかなり良心的で、ミスを恐れるから先延ばしにするのです。当人は自覚していないかもしれませんが、するべきことをしないで、食器を洗ったり、引き出しの整理をしたり、SNSをスクロールしたりするのは、自分はうまくやれないかもしれないという不安と、それが皆にばれてしまうのでは、という恐怖から目をそらすためです。
そういうわけで、ストレスが限界に達するまで仕事を放置し、あと数時間で一日が終わる頃になって、ようやくその仕事に取り掛かり、このプロジェクトは本当に大変だ、私はまったく愚かで、そもそもこの仕事に就くべきではなかった、と自分に言い聞かせます。身に覚えはないでしょうか? けれども、親愛なる先延ばし屋さんは、この時点までに、その仕事について悩んだり、気を散らすために他のことを考えたりして、とてつもない量の精神的エネルギーを費やしています。そうやって身体的・精神的・感情的資源を大量に消費し、燃え尽きたようになって初めて、先延ばしが不適応であることに気づくのです。
「なぜ、さっさと取り掛かれないのか!」「次はこうならないようにしよう、もっと早く始めて、こんなことにならないようにしよう」 もしあなたが先延ばし屋なら、自分が先延ばしすることに気づかないどころか、大いに気にしているはずです……そうであれば、おそらくあなたは完璧主義という煉獄に陥っているのです。 ■先延ばしは良いこと? あなたはどう思うでしょうか? 明日できることなら、今日しなくてもいいのでは? そんなことは考えただけでぞっとするという人もいるでしょうが、実のところ、先延ばしが良策になる場合もあります。計画的な先延ばしや、仕事を遅らせることは、しばしば有益な戦略になるのです。