竹内まりや、松原みき…昭和の「シティポップ」がなぜ今、海外でブームなのか
2023年、YOASOBIの「アイドル」が日本だけでなくグローバルで大ヒット。特に、米国ビルボード・グローバル・チャートで首位を獲得したことは世間を驚かせた。前編では「アイドル」がなぜ海外でもヒットしたのか、J-POPがどのような流れで海外で受け入れられているのかについてひもといた。本記事ではJASRAC理事で「音楽×テクノロジー」に詳しい鈴木貴歩氏にインタビュー。竹内まりや「Plastic Love」や松原みき「真夜中のドア~stay with me」といった昭和の「シティポップ」が、なぜ今、海外でも人気があるのかについて考察していく。(聞き手/ジャーナリスト・研究者 まつもとあつし) 【この記事の画像を見る】 >>前編『YOASOBI「アイドル」はなぜアメリカでもヒットしたのか?成功を支えた「3つの民主化」とは』から読む ● テキスト重視の日本の音楽が、 なぜ日本語が通じない海外で受け入れられたのか? ――「オリジンを大切にする」「メロディ重視」が日本の音楽の特徴であり、だからこそ「初音ミク」のようなボーカロイドを用いた楽曲が人気を博した。そしてそれを支えたのが「ニコニコ動画=テキストカルチャー」だったというのは納得です。しかし、テキストカルチャーとなると、日本語でもありますし、かなりその解釈もハイコンテクストでもあるように思えます。それでも海外で受け入れられているというのは不思議でもあります。そこでアニメが果たした役割というのも大きそうです。 鈴木貴歩氏:2015年頃からNetflixやAmazon Primevideoのような動画配信サービスが世界中に拡がった中で、特に北米などでアニメの需要が高まっているというデータがいくつかあります。
鈴木:『進撃の巨人』、『僕のヒーローアカデミア』などがよく見られている中、日本語で歌われる主題歌がそのまま広がっていたわけです。そこに(2020年からの)コロナ禍とそれに伴う巣ごもり需要が発生し、アニメ、アニソンとの接触時間が爆発的に増えたことが背景にあります。 そしてもう一つ、忘れてはならないのがゲームです。ゲームにおける日本の存在感は20年~30年という長いスパンであり、最近アニメで日本文化に触れるようになった若い層だけでなく、30代~40代までも影響を与えてきました。その素地があったところに、配信・巣ごもり需要によるアニメとの接触拡大が決定打となったということでしょう。 ――ゲームというと、必ずしもJRPG(ジャパニーズロールプレイングゲーム)などの日本のゲームが、海外で人気が維持されてきたというわけではない、という理解ですが、海外のゲームが日本のアニメ的な表現を取り入れてきた経緯は確かにありますね。