仕事ができる人は「受信トレイがゼロ」になっている…「グーグルの中の人」が教えるGmailの賢い使い方
■「メール整理」をスケジュールに組み込む ここで示すシステムに切り替えるには、一度だけ初期設定をする必要がある。まず、受信トレイにある処理が必要で未対応のメールをすべて「要返信」「読むだけ」「あとで確認」のどれかのフォルダー/ラベルに振り分ける。 その後、残りのメールは一気にアーカイブするか削除する。これらのアクションが必要でないメールは、受信トレイに残しておかない。 毎日決まった時間(私は朝がいいと思う)に、受信トレイのメールを整理し、新着のメールをこれら4つのアクションに振り分ける。Gmailの場合には、後続のメールに自動的に移動する「自動表示」機能やキーボードショートカットを活用してすばやく処理できる。 この時間はメールを仕分けるための時間と考え、もし返信するなら、3分以内に終わるメールだけに返信する。この仕分け作業にかかる時間は、あらかじめ1日のスケジュールに組み込んでおこう。 ■「受信トレイゼロ」を維持することが重要 受信トレイの中身を「洗濯カゴ」に空けるアクションを私は「受信トレイゼロ」(乾燥機が空の状態)と呼んでいる。すべてのメールが取り出され、仕分けされた状態だ。これで、それぞれのメールに対して何をすべきかが明確になり、「未来の自分」をサポートすることができる。 メールを開いたのに再び未読に戻してしまったら、あとでそのメールを再び開いて扱いを判断しなければならないため、「未来の自分」を苛立たせることになる。エネルギーポイントの無駄遣いでもある。「ええと、このメールは開いたっけ?」「返信したかな?」「何をすべきだったっけ?」と迷ってしまい、結局同じメールを何度も開く羽目になる。 「受信トレイゼロ」を達成したら、1日のなかで時間を確保し、「洗濯カゴ」を個別に処理する。このとき、各カゴの中身に対して何をすべきかだけを考える。たとえば、「要返信」カゴにあるメールだけに集中し、ほかのことはすべて無視し、返信のみをおこなう。メールを読むためにスケジュールした時間では、読むべきメールだけに集中する。 受信トレイには、最後に仕分けした時点以降に届いた新着メールだけが入っているはずだ。1日に2~4回ほど追加で仕分けし、「受信トレイゼロ」の状態の維持を心がける。 メールにせよ洗濯物にせよ、「カゴ」に分けることで一括処理の恩恵が得られる。同じ種類の処理をまとめれば、作業の流れができて効率が高まり、使うエネルギーポイントも少なくて済む。シャツを5枚連続で畳むと、慣れてきてどんどん手際がよくなる。 メールについても同じで、返信するなら返信する、読むなら読む、の作業を5通連続でおこなうほうが、1日のバラバラの時間帯にぽつぽつと1通ずつ処理するよりも、集中力が高まり、効率もアップする。 ---------- ローラ・メイ・マーティン グーグル社エグゼクティブ・プロダクティビティ・アドバイザー 時間とエネルギーのマネジメント方法を上級管理職にコーチングしている。5万人を超える社員が読む、生産性に関するニュースレターを毎週発行。13年にわたって社に籍を置き、営業、プロダクト・オペレーション、イベント・プランニングに携わったのち現職に。ノースカロライナ大学チャペルヒル校で経営管理学を専攻し理学士号を取得。夫と3人の子どもとともにノースカロライナ州シャーロットに住む。著書に『Google流 生産性がみるみる上がる 「働く時間」の使い方』(ハーパーコリンズ・ジャパン)がある。 ----------
グーグル社エグゼクティブ・プロダクティビティ・アドバイザー ローラ・メイ・マーティン