これなら家族のファーストカーとして不都合なし! 2代目でよりスタイリッシュになったBMWのSUVクーペ、X2に試乗 実用性もスポーティさも兼ね備えたBMWらしい一台
新型X2は単にスタイル優先のバリエーションではない!
前輪駆動プラットフォームにクーペルックのエクステリアを組み合わせた、BMWのコンパクトSUV、X2が2代目に進化して日本にやってきた。同じカタチをしたEVもあるが、今回はガソリンの入門モデルを連れ出した。モータージャーナリストの高平高輝がリポートする。 【写真27枚】最新バージョンのインフォテイメントシステムを搭載 BMW X2の内装、外装の詳細画像はこちら ◆意外なほど実用的 昨秋のジャパン・モビリティ・ショーで初めてお披露目された2代目X2は(輸入車は欠席したブランドが多いなか、ワールドプレミアだった)、他の最新BMW同様、同じボディでガソリンおよびディーゼルの内燃エンジン・モデルとBEV(電気自動車)をともにラインナップしている。ただし今のところ日本仕様は2.0リッター4気筒ガソリン・ターボ仕様が出力違いで2種(xドライブ20iMスポーツ/M35ixドライブ)、そしてBEVのiX2xドライブ30Mスポーツの計3車種に留まるが、ディーゼル・モデルも後に控えているという。その中からxドライブ20iMスポーツを紹介する。 フロントに横置きされるエンジンはお馴染みのB48系で、xドライブ20iMスポーツは204ps/5000rpmと300Nm/1450~4500rpmを生み出す(M35iは317psと400Nm)。どちらも7段DCT(デュアルクラッチ式自動MT)との組み合わせで、電子制御油圧クラッチで駆動力を前後に配分する(最大でリア50%)xドライブである。 カーブドディスプレイとフローティング・タイプのセンターコンソールが目立つインテリアはすでに発売されているX1と基本的に同じ、コンソールからiドライブ・コントローラーがなくなった代わりに、このX2では車載オペレーティングシステムのBMW OS9.0が初めて実装されており、タッチスクリーンとボイスコントロールで各種機能を操作するようになった。それでも小さなシフトセレクターやハザードスイッチなど主要なコントロール類はセンターコンソール前端にまとめて配置されている。ブリッジのようなコンソールのおかげもあって前席まわりはルーミーで広々としている。実際に、先代モデルよりもボディは全体的に大型化されており、全長は約20cmも伸びている。X1よりも車高が若干低いことを除けば外寸はほぼ同じ、全幅は若干増えたとはいえ1845mmに留まっているから日本の道でも持て余すことはないはずだ。 クーペに寄せたSUVはどうしても後席の居住性や荷室容量で我慢を強いられるものが多いが、新型X2はサイズ拡大のおかげで予想以上に実用的であることが特長と言える。とりわけ比較的アップライトに座るリアシートはフロアが深く、足先もフロントシートの下に入るし、身長178cmの筆者が座ってもヘッドルームも問題ない。BEVのiX2の場合はバッテリーを搭載するためにこのフロア部分が高くなるはずだが、ガソリンモデルはリラックスした自然な姿勢で座ることができる。 さらにラゲージスペースも容量は560リッター(最大1470リッター)とX1より大きいほどで、フロアボードの位置はやや高いが(3分割可倒式のリアシートバックレストとフラットにつなげるため)、代わりにかなりの大きさのアンダーフロアボックスも備わり、ちょっと意外なほど実用的である。これなら家族のファーストカーとしてもまったく不都合なく使えるはずだ。ちなみに2690mmというホイールベースはX1や新型ミニ・カントリーマンと同じ、基本コンポーネンツを共用しながら、それぞれのキャラクターを作り出しているというわけだ。 ◆すっきり爽快な走り 軽快で清々しい走りっぷりはX1同様、最近のBMWのコンパクト・モデルらしいすっきり爽快な印象だ。際立ってパワフルではないものの、キビキビと切れ味良く反応してくれるパワートレーンに不足を感じることはないし(シフトパドルの左側を長引きすると10秒間のスポーツ・ブースト機能が作動する)、ハンドリングもリニアで俊敏である。せっかくのBMWならやっぱり後輪駆動モデルじゃないと、という決めつけは新世代モデルにはもう当てはまらないと実感させられた。19インチ・タイヤが標準となるMスポーツゆえに、乗り心地はちょっと硬く、路面によっては上下動がきつく感じられる場面もあったが、スピードが増すと引き締まった脚まわりはむしろフラットで頼もしく、安心感がある。このぐらいならば家族からも不満は出ないのではないだろうか。新型X2は単にスタイル優先のバリエーションではなく、実用性もスポーティさも兼ね備えたBMWらしい一台である。 ■BMW X2 xドライブ20iMスポーツ 駆動方式 フロント横置きエンジン4輪駆動 全長×全幅×全高 4555×1845×1575mm ホイールベース 2690mm トレッド 前/後 1580/1585mm 車両重量(車検証記載前後軸重) 1670kg(前960/後730kg) エンジン形式 直列4気筒DOHC16Vターボ 総排気量 1998cc ボア×ストローク 82.0×94.6mm 最高出力 204ps/5000rpm 最大トルク 300Nm/1450-4500rpm 変速機 デュアルクラッチ式7段自動MT サスペンション形式 前/後 マクファーソン・ストラット/マルチリンク ブレーキ 前/後 通気冷却式スチール・ディスク/ディスク タイヤ 前後 245/45R19 102Y 車両価格(税込) 628万円 文=高平高輝 写真=茂呂幸正 (ENGINE2024年7月号)
ENGINE編集部