暴力だけじゃない。子どもへの虐待4つの類型と、その見分け方
友だちとトラブルばかり起こしている、大人に対して反抗的、拒食や過食……。こうした「困った子」は、実は本人が困っている子です。過酷な体験で生じた心の傷=「トラウマ」から、問題行動を起こしているのかもしれません。 【漫画】「悪魔の子の証だよ!」新興宗教にハマった母親が娘に言い放った信じ難い一言 わかりにくいのは、なにがあったかを子ども自ら話すことが少ないからです。トラウマは、先の人生に大きな影響を及ぼすことさえあります。ですから周囲は、子どもの回復のためになにができるかを考え、行動していくことが必要です。 そこでこの連載では、『子どものトラウマがよくわかる本』(白川美也子監修、講談社刊)を基にして、当事者はもちろん、子どもにかかわるすべての支援者にも知っておいてほしいことを、全8回にわたってお伝えします。 支援者が子どもや家族をコントロールするのではなく、双方が力を与え合い、この世に生きている幸せを共に感じられる。そんな瞬間を増やすのに役立つヒントをぜひ見つけてください。今回は、子どもにトラウマを生じさせるおそれが高い「虐待」についてみていきましょう。 子どものトラウマがよくわかる 第5回 〈いわゆる多重人格、悪夢、赤ちゃん返り……子どものトラウマのさまざまな現れ方〉より続く
守ってくれるはずの人から傷つけられる体験=虐待
子どもへの虐待はたびたび事件化し、社会問題になっています。そのかげには、第三者には気づかれないまま、虐待を受け続けている子どもたちがいます。殴る、蹴るといった直接的な暴力だけが虐待ではありません。虐待とはなにかを知ることが、「気づき」につながり、つらい状況に置かれている子どもを支える第一歩となります。 それでは、虐待とはどういう状態のことをいうのでしょうか? 子どもへの虐待は児童虐待、あるいは「子ども虐待」といわれます。児童虐待防止法では、18歳未満の子どもに対して、その養育者(保護者など)がおこなう次のような行為を「児童虐待」としています。 【子ども虐待の4つの類型】 ●身体的虐待……体を傷つける、または傷つけるおそれのある暴行などを加えること ・殴る、蹴る、投げ落とす、激しく揺さぶる、熱湯をかけるなどの暴行 ・異物をのませる、(懲罰として)食事を与えない、寒い戸外に閉め出す、縄などで拘束する ・意図的に子どもを病気にさせる、など ●心理的虐待……暴言や拒絶的な対応などで、子どもの心を傷つけること ・言葉による脅かし、脅迫 ・子どもを無視したり、拒否的な態度を示す ・子どもの自尊心を傷つけるような言動をくり返す ・子どもの面前で、家庭内暴力(DV)がくり返される、など ●ネグレクト……子どもの心身の発達を妨げるほど、世話をしないこと ・食事を与えない、極端に不潔な環境の中で生活させる、長時間放置する、子どもの意思に反して家に閉じ込める、重い病気になっても病院に連れて行かないなど、子どもの健康・安全への配慮を怠っている ・保護者以外の同居人が子どもを虐待していることを知りながら、放置している ・子どもの情緒的な欲求に応じない、など ●性的虐待 ・子どもにわいせつな行為をする、またはさせること ・子どもに性的な行為をしたり、させたりする ・性器や性的な行為を見せる、など