慶應志木高校 山中智之監督「文武両道を実現する上で大切なことは...」【文蹴両道】
在校生の大半が慶應大学に進む慶應志木高校は、埼玉では屈指の難関校であり人気校のひとつでもある。 【フォトギャラリー】慶應志木 100,000平方メートル以上もある広大な敷地内には、各競技の専用グラウンドをはじめとする様々な拠点を設置。これらの施設は180種を超える樹木に400種超の野草、野鳥や昆虫類などの動植物を擁する森に囲まれ、抜群の自然環境を誇る。学校は東武東上線・志木駅から徒歩7分という立地にある。 部活動は運動部が18、文化部が11で、生徒の80~90パーセントがいずれかのクラブに所属。優秀な人材を育成するサッカー部は慶應大学進学後、100年以上の歴史がある伝統の体育会ソッカー部で活躍する選手も輩出している。 サッカー部の山中智之監督は2005年の就任以来、今年で節目の20年目を迎えた。どんな指導法で選手と向き合っているのだろうか。 ――中学時代の所属で、中体連とクラブの比率はどんなものですか? 圧倒的に中体連が多いのですが、高校での3年間でどれだけ伸びるか、私たちがどうやって彼らに刺激を与えられるかが勝負になると思います。「あれやれ、これやれ」と要求もしますが、それだけでは成長は見込めません。プラスアルファが重要になります。勉強は指示されなくてもやる子ばかりですから、部活動でもそうあってほしいですね。ただうちは試合に勝ちたい、もっとうまくなりたいと思っている生徒ばかりではなく、高校でサッカーを辞める生徒が大半なんですよ。 ――もったいないですね。大学ではスポーツとは無縁ですか? アメフトやラクロス、アイスホッケーなどに転向する選手もいます。これだけサッカーを頑張ってきたのだから続けたらいいと思うのですが、こだわりがないんですね。OBの話を聞いてもいろんな個性がにじみ出るので、一方では楽しい側面もあります。 ――現在ソッカー部に所属する卒業生はいますか? 4年生が6人で、1、2年生が各1人の計8人です。現4年生が高校3年の時はすごくいいチームで勝負の年でしたが、新型コロナウイルス感染拡大のため公式戦は全国高校選手権予選しかなく、サッカーの欲求が満たされなかった。これが大学で6人もプレーしている背景だと考えられます。香山(達明)は、関東大学リーグ2部で得点ランク6位タイ、チームでは2番目に多いゴールを挙げています。 ――山中監督がチームづくりにおいて、最も重心を置いているのは何でしょうか? 『挑戦』というチームのスローガンは、技術的にもっとうまくなり、戦績でも前年のチームを超えて勝利を積み上げよう、という願いが込められています。ベースは毎日の練習にあります。トライしてチーム力を伸ばし、一番いい状態で3年生の終わりを迎えられるよう、指導陣も知恵を絞っています。うちは新型コロナウイルスが流行する前後で、チーム情勢が大きく変わってしまいました。コロナ前は関東高校大会予選の8強もあり、全国高校選手権予選はベスト16が現実的な目標で、8強も狙える力があったのですが、ここ4年間は県大会未勝利。当時とは実力差があり今は我慢の時です。 ――1週間の練習のルーティンを教えて下さい。 試合が土曜にあっても日曜でも月曜日は完全オフで、そのほかは午後3時15分から6時半頃までやりますが、照明の関係もあり時期によってまちまちです。ただ基本的には何曜日に何をするという題目はあまり決めず、負荷をかける内容や試合間近の調整、試合で露呈した次への改善点などを確認します。 ――指導陣は川原行人部長との2人体制。対戦校の細かなスカウティングなどは難しそうですね。 相手がこうだからこう変えようというほど、器用なチームではありません。それより自分たちの強みを発揮することが重要と考えます。