「『ちむどんどん』の悪夢がふたたび…」「橋本環奈の無駄遣い」 新朝ドラ『おむすび』に噴出した批判が的外れであるワケ
視聴者からの支持を集め、一定の数字を得た作品は「あまちゃん」のみと言っていいのではないでしょうか。 ■難しさを承知で「現代劇」を選択 前作「虎に翼」も日本初の女性弁護士・女性判事の三淵嘉子さんがモデルで、戦前戦後の時代を描いた物語でした。「おむすび」に早くも「退屈」「微妙」などの声があがっているのは、序盤からシビアなシーンが続き、終盤まで緊張感のあるエピソードが続いた「虎に翼」からの反動が感じられます。
実際、批判のコメントには、「こんなことを言うのは早すぎるとはわかっていますが」などと気持ちの切り替えができていない様子がうかがえるものもあり、もどかしさを感じているのでしょう。 ちなみに朝ドラの次作は、やなせたかし・小松暢夫妻がモデルの「あんぱん」、次々作は小泉八雲・セツ夫妻がモデルの「ばけばけ」を放送予定。どちらも著名人かつ戦前戦後の物語であり、2010年以降における王道パターンが選ばれています。
脚本を担う根本ノンジさんは、そんな現代劇の難しさを覚悟していました。 NHK出版発行のガイドブックに「昨今の朝ドラのオリジナル現代劇は良くも悪くも、いろいろな意味で注目される。そのため正直オリジナルを描くことを躊躇した」「それでも描くべきだと強く思ったのは、オンエア中に2025年を迎えること。その年は阪神・淡路大震災から30年目の節目の年になる」などと語っていたのです。 ■戦争に劣らぬ震災のシビアな描写
根本さんの「2025年は阪神・淡路大震災から30年目の節目」というコメント聞いて、震災が扱われることに初めて気づいた人もいるのではないでしょうか。 ただ、制作サイドは第1週からそれを匂わせています。 第1話では、主人公・米田結(橋本環奈)の祖母・佳代(宮崎美子)の「あげん小さかった結が高校生ね」と、母・愛子(麻生久美子)の「もう9年だもんね」という会話に、父・聖人(北村有起哉)が「9年と2カ月と20日や」と細かく訂正を入れるシーンがありました。