「『ちむどんどん』の悪夢がふたたび…」「橋本環奈の無駄遣い」 新朝ドラ『おむすび』に噴出した批判が的外れであるワケ
「銀と金」では裏社会の勝負事、「スモーキング」では殺し屋、「フルーツ宅配便」ではデリバリー風俗(いずれもテレビ東京系)など、重苦しい世界観やそこでの人間模様も得意としているだけに、見応えのあるシーンが期待できます。 とはいえ、「おむすび」は重苦しい世界観や人間模様がベースの作品ではありません。景気の低迷などで、どんよりとしたムードが漂っていた平成時代を明るくたくましく生きるギャルの姿が描かれるようです。
ギャルたちは自分と仲間を大切にし、他人と比較せず、社会のムードには染まらない。今を楽しむことに長け、「自分大好き!」「ウチら最強!」と自己肯定感が高いことも強みの1つです。 令和の現在も、疫病、戦争、天災、経済不安などに悩まされる中、そんなギャルの姿は多少の困難を乗り越える1つの生き方として、回を追うごとに令和の視聴者にフィットしていくのかもしれません。 第1週の結はギャルについて「嫌い」「今どき古い」などと言い切っていましたが、その意識がどのように変わっていくのか。また、夢を見つけ、ギャルを卒業してからも、そのマインドを持ち続けることで、どのように道を切り拓いていくのか。このあたりの描写も共感を集めるポイントになりそうです。
■普通の人が笑い泣きする「人生賛歌」 「おむすび」を語るうえで、もう1つ重要な「食」というモチーフについてもふれておきましょう。 これまでも杏さん主演の「ごちそうさん」など、「食」を扱った朝ドラはありましたが、今回は栄養素や献立まで掘り下げることを制作統括の宇佐川隆史さんや根本さんが明言しています。 第1週から結の家族が営む「よねだ農園」のシーンが多く、色とりどりの野菜が登場。今後は食卓のシーンだけでなく、栄養素や献立にもスポットが当てられるシーンが増えていくのでしょう。
そして、「よねだ農園」を継ごうと考えていた結が栄養士になることで、その傾向が一気に加速するほか、さらに病気の人なども対象にした管理栄養士になって困っている人々を救う展開も推察されます。 栄養士という職業について、根本さんは、幼子の離乳食から学生の給食や学食、会社の社員食堂、病院での食事など、老若男女が対象の仕事であることを指摘していました。その意味で同じ「食」を扱ったドラマでも、栄養士の活躍シーンは飲食店の料理人以上にバリエーション豊かなのではないでしょうか。