【キーンランドC回顧】堀厩舎の大幅馬体増は好走のサイン サトノレーヴがスプリンターズS制覇に向け好発進
悲観しなくていい5着ナムラクレア
一方、1番人気ナムラクレアは5着に敗れた。1200mでは2年前のスプリンターズSに並ぶ最低着順に終わったが、やはり最内の狭いところに入った影響は否定できない。だが、1枠2番に入った時点で、ある程度決め打ちしていたのではなかろうか。 一団で進むハイレベルなスプリント戦では、なかなか内から外に持ち出すタイミングは見つからない。ならば、いっそ最内へと考えたはずだ。最後の直線では2番手エトヴプレに入りたいポジションをとられ、かなり狭い所へ突っ込んでしまった。ラチと接触するような場面もあり、ここで勢いを削がれた。ほかにどうしようもない競馬だっただけに、悲観することはない。こちらは馬体重+6kgで476kgと、本番に向け余裕もあった。戦歴をみると、460~470kg前半がベストなので、仕上げとしては先を見据えたものといえる。次は必ずよくなってくるだろう。 前後半600m33.6-34.3でハイペースというほど前傾ラップではなかったが、スキのない流れはレベルが高く、札幌の芝が徐々に差し優勢になりつつある状況も踏まえ、先行勢には厳しい競馬になった。2着エイシンスポッターはJ.モレイラ騎手が後方一気ではなく、中団につけ差す形をとったことが札幌にマッチした。京都での好走が多く、平坦は得意。展開待ちではなく、自ら位置をとれるようになったなら前進だろう。ただ、モレイラマジック炸裂といった印象もあり、今後、同じ競馬ができるかは不透明。次走以降にもいかしてほしい。 3着オオバンブルマイは1200m戦初出走。急流に付き合わず後方待機で対応した。結果的には大味な競馬になり3着止まりではあったが、上がり最速33.2を記録し、自身の能力は示した。母系は短距離色が濃いものの、走りやすいのは1400m前後であり、距離延長で見直そう。ベストは直線が長いコース。今回は色々と適性から外れていた。 ライタープロフィール 勝木 淳 競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
勝木淳