<独自>防衛増税、法人・たばこ税の先行決定案が与党内で浮上 所得税は棚上げ
令和7年度税制改正で開始時期が焦点となっている防衛力強化に伴う増税を巡り、所得税の議論を棚上げし、法人、たばこの2税について先行して決める案が与党内で浮上していることが28日、分かった。年収103万円を超えると所得税が生じる「103万円の壁」の引き上げと並行して、国民の抵抗感の根強い所得税の増税時期を議論するのは困難なためだ。 政府・与党は防衛力強化に必要な財源をまかなうため、5年度改正で3税を段階的に増税し、9年度までに1兆円強を確保する方針を決めた。増税時期については結論を先送りしていた。 石破茂首相は10月、7年度改正の議論で決着をつける考えを表明。国民民主党は、自民、公明両党との7年度税制改正を巡る協議で防衛増税を扱わない方向だ。ただ、自公は少数与党となったことで、今後の国会運営上、「手取り増」を掲げる国民民主の主張を無視できない。 長期化する物価高で家計が厳しくなっていることも、所得税の議論を難しくしている。 もっとも与党内では、「安全保障を強化する上で増税は不可欠」として、7年度改正で3税全ての増税時期を決めるべきとの意見も根強い。ただ、税制改正に向けて、現状は103万円の壁の議論に多くの時間が割かれ、7年度改正でも結論が先送りされる可能性がある。 3党の税制調査会幹部が28日に開いた2回目の3党協議でも、主題は103万円の壁の見直しだった。自公は所得税の非課税枠を178万円まで拡大するよう求める国民民主に、趣旨や財源を明らかにするよう迫った。 自公は見直しの目的として、就業時間を調整する「働き控え」を減らしたいのか、消費喚起のため手取りを増やしたいのかなど、国民民主が重視する点をただした。 非課税枠を178万円に引き上げると、国・地方で7兆~8兆円の税収減につながると試算される。自公は財源確保の手段として歳出削減や経済効果による税収増、家計の負担増とならない増税の3案を示した。 自民税調の後藤茂之小委員長は協議後、記者団に対し「経済効果による税収は恒久財源ではないと(国民民主側に)指摘した」と明らかにした。