「肉を食べる」が90歳現役医師の健康の秘訣 血糖値も気にせず「好きなものを食べる」
一昔前までは、「高齢者は食べられるだけで十分である。肉はあまり食べないほうがいい」といわれていたが、現在は肉を食べることが推奨されている。90歳を迎えた今も現役医師として週4日高齢者施設で働いている折茂肇医師は、「好きなものを食べる」がモットーで、とくに肉が好きだという。 【動画】90歳現役の折茂肇医師の回診の様子とインタビューはこちら 折茂医師は、東京大学医学部老年病学教室の元教授で、日本老年医学会理事長を務めていた老年医学の第一人者。自立した高齢者として日々を生き生きと過ごすための一助になればと、自身の経験を交えながら快く老いる方法を紹介した著書『90歳現役医師が実践する ほったらかし快老術』(朝日新書)を発刊した。同書から一部抜粋してお届けする(第8回)。 * * * 肉を食べることが健康にいいデータを紹介しよう。 食生活が高齢者の健康を維持する上で重要なことはすでに知られていると思うが、なかでも血清中のアルブミン値と総コレステロール値が高齢者の栄養状態を示す指標として極めて重要だ。ごく簡単に言うと、アルブミン値はたんぱく質の摂取量を、総コレステロール値は脂肪の摂取量を反映したものである。 東京都小金井市の70 歳以上の在宅高齢者について10年間という長期にわたってこれらの値を調査した結果、血清アルブミン値が高い人ほど、10年生存率が上昇することがわかった(*1)。 また、約600人の在宅高齢者の食生活と生活機能の関連について2年間の追跡調査をした結果、「肉類・牛乳・油脂類をよく食べる習慣」の人は、「ご飯・漬物・みそ汁をよく食べる習慣」の人に比べて生活機能が高く保たれている(自立性を低下させる危険率が低い)ことがわかった(*2)。 これらのデータは、高齢期の健康を維持するためには、食生活において肉類・牛乳・油脂類をとることがいかに重要であるかを示している。 肉を食べられるかどうかは、健康のバロメーターの一つになるのではないだろうか。