「億単位の資産を失った人」と「高級車を爆買いした人」…2020年代前半に富裕層の明暗を分けた1つの違い
この時期、米国株などに投資をしていた人たちは、「株の値上がり益」と「為替の円安効果」とダブルで恩恵を受けて資産を増やし、数多くの株長者が誕生しました。 一方で、スイス第2位の規模を誇るクレディ・スイスが破綻(UBSにより救済合併)したことで、多くの富裕層が投資をしていたAT1債という特殊な外国債券が無価値となってしまい、億単位の損失を出す個人富裕層も続出したものです。 ただ、クレディ・スイスを含め、パンデミックで淘汰された会社は、そもそもコロナ以前から屋台骨が揺らいでいた会社がほとんどであり、コロナでトリガーが引かれた、という表現が正しいと思います。ある大企業の創業者である富裕層の「こういう時代はニセモノは消えるよね」という言葉が印象に残っています。 想定外のパンデミックに始まったこの5年の教訓としては、ビジネスも資産運用も結局のところ、人の言いなりになるのではなく、自分の頭で考え判断することが重要だということ。「よくわからない金融商品だけど銀行さんが言うからまあいいか」という意思決定をしていると、損をしかねません。 また私は常々、売り手の人柄と資産運用の巧拙には何ら関係がないと思っています。むしろ屈折した人柄の方が資産運用に関してはうまいと言っていいでしょう(運用成績の良い敏腕ファンドマネジャーの著書などを読んだことがある人は、共感いただけるのではないかと思います)。 つまり、銀行の営業マンは人当たりがいいですが、それと資産運用の成果は別ということです。「人の行く裏に道あり花の山」という投資の格言通りではないでしょうか。 ● 都心の不動産価格は上昇 背景に外国人富裕層の存在 また、日本では低金利環境が続く中、都市部の不動産価格が上昇しました。特にマンション価格の上昇はすさまじく、億ションではなく、“2億ション”が当たり前の時代になっています。 マンションの主な買い手はパワーカップルや富裕層に加えて、外国人富裕層の存在が目立つようになってきました。反対に、国内投資家や地主などの借入金をベースに不動産を保有している人たちは、近年は金利上昇に備えて売却することが多いと感じています。