計算通りにはいかないことの豊かさを描けたらいい――小林武史が約9万坪の農地で開催するフェスで描くSDGs
エンタメは必ずしもわかりやすさが全ての美徳ではない
そして、10月3日には「ap bank fes ’21 online in KURKKU FIELDS」が開催される。 「ap bank fes」としては初の無観客生配信となる同ライブは、千葉県木更津市のサステナブルファーム&パーク「KURKKU FIELDS(クルックフィールズ)」で行われる。クルックフィールズとは、2019年、木更津市の内陸に位置する広大な土地に小林がオープンさせた、「農業」「食」「アート」を軸とした体験型ファームだ。 最終決定は直前のことだった。「ap bank fes」の構想自体は1年以上前からあったが、コロナ禍が続く中でフェスを開催できるのか、どういった形なら運営が可能なのか、何度も話し合いが繰り返されてきた。 「『ap bank fes』に関しては、収容人数5000人が上限というのでは、運営が厳しいという判断があったことや、8月後半に向かって、特にフェスへの風当たりの強さなどを考えて、ほぼ中止を考えていました。9月に入ってからクルックフィールズで開催するというアイデアが突然生まれて、設営や運営経費が格段に下がることと、ここでやるべきなのではないかという直感のようなものが櫻井くんや僕の中に生まれたというのがあります。最終的には無観客配信を選んだわけですが、それは『ap bank fes』は『続いていく未来』に対して、今までも多くのアーティストとともに存在感を持ってきたと思っているので、やはりこの時期に無理はできないなということ。いつもよりはコンパクトな見え方にはなるのでしょうけれど、自然豊かで、植物や動物の命もあふれている環境を通じてのライブが音楽にも影響してくるように思います。自然の猛威を感じざるを得ないコロナの時代ですが、それでも『次の未来』へ向かって、イメージして、命を咲かせていくというか、自然も音楽も計算通りにはいかないことの豊かさを逆に描けたらいいと思っています」