BUCK-TICKインタビュー「新しいバンドをやるような気持ち」あの日から現在、そして未来へ続く新作とツアーを語る【後編】
BUCK-TICKが新章を告げたのは、2023年12月29日に開催された日本武道館公演『バクチク現象-2023-』でのことだった。同年10月19日に圧倒的なカリスマ性を放つフロントマンの櫻井敦司が急逝。同じ高校の同級生らと1985年にバンドを結成し、1987年のメジャーデビュー以降、メンバーチェンジをすることなくロックシーンの第一線で活躍し続けてきた彼らが、深い哀しみの淵から再生を誓ったあの日。暗闇にいた誰もがその姿に光明を見出し、変容の旅路をパレードするBUCK-TICKの新たな選択を見守っていた。 【全ての写真】BUCK-TICKメンバーのソロカット BUCK-TICKは今井寿(vo/g)、星野英彦(vo/g)、樋口豊(b)、ヤガミ・トール(ds)の4人体制で初となるニュー・シングル「雷神 風神 - レゾナンス」を11月20日に、ニュー・アルバム『スブロサ SUBROSA』を12月4日にリリース。さらに、2024年12月にはファンクラブ限定ツアー、12月29日には年末恒例の日本武道館公演『ナイショの薔薇の下』、2025年4月より全国ライブハウスツアー『BUCK-TICK TOUR 2025 スブロサ SUBROSA』を開催するなど、非常にアグレッシブな活動スケジュールを発表した。 第二期BUCK-TICKは未来に何を見据えているのか。【後編】では、重要な節目にのみ掲げる「バクチク現象」と銘打った昨年末の日本武道館公演と、新体制での今年の同公演やツアー、そしてニュー・アルバムについてまで、メンバー全員に話を聞いた。 ――新体制でのニュー・アルバム『スブロサ SUBROSA』は全17曲収録とボリューミーな作品です。昨年から現在に至るまでのメンバーのみなさんのリアルな感情や、櫻井さんやファンのみなさんへの思いが歌詞やサウンドとしても詰まっているように感じましたし、4人で制作されているけれど、ずっと5人のBUCK-TICKなのだと実感しました。曲数については、実はもっと収録数を増やしたかったのですか? 今井 結局はこれで全部です。 樋口 え? 最初はもっと作ろうとしてたよね? 今井 ははは。まあ、ちょこちょこ作り出してもいたんですけど。2枚組にしたかったという話もあったんですけどね。最終的には17曲に収まっています。 ――今井さん作曲のインストが3曲も入るのはこれまでにありませんでしたね。 今井 インストもやりたかったんですよね。これだけ曲数があるとインストが入ったほうが流れ的にも聴きやすいと思うし、フロントマンでボーカリストの櫻井がいなくなったことで、逆にインストができるなと。それもまあ、面白いかなって。 ――逆転の発想もあったのですね。星野さん作詞作曲の4曲目「From Now On」は最初インストかと思って聴いていたら、後半から星野さんのボーカルが入ります。 星野 半分、インストのつもりで作ったんです。 ――そうでしたか。アルバムは1曲目「百万那由多ノ塵SCUM」で「俺たちは独りじゃない」と始まり、これまでにあまりない曲調や幅広いサウンドが続き、ラストの17曲目「黄昏のハウリング」でシビれるわけですが、ずっと聴いてきたみなさんにとってもうれしい新作となり、第二期BUCK-TICKも何やら面白そうだと新しく聴いてみたいと感じる人たちも増えるように思いました。そういった人たちに推しの1曲を選ぶとしたら、どの曲になりますか? 今井 2曲目「スブロサ SUBROSA」ですね。アルバムのタイトル曲でもあるし、ギターがまったく入っていない曲。 星野 全部がおすすめではあるんですが……自分が作った曲の12曲目「絶望という名の君へ」。 ――星野さんの作曲で、今井さんが作詞の曲ですね。それもこれまでにない取り組みとなりました。 星野 そうですね。この曲は、メロディがあるので、聴きやすいのかなと選びました。 樋口 僕は3曲目「夢遊猫 SLEEP WALK」という曲です。今までのBUCK-TICKにはなかった感じの曲なので、ずっと聴いていただいている人たちにも、新しい感じを届けられるかなと。今回のアルバムは、全体的に印象深いフレーズが多いですね。 ヤガミ 自分は8曲目「冥王星で死ね」です。この曲はアフロビートなんですが、久々にやったのですごく疲れるんですよ(苦笑)。でも最近はだいぶ慣れてきまして、昔の勘を取り戻してきました。(主にラテン音楽で使用される打楽器の)ティンバレスを使っていて、昔で言ったら「HURRY UP MODE」とかとドラムパターンが同じタイプの曲なので、久しぶりに頑張りました。