BUCK-TICKインタビュー「新しいバンドをやるような気持ち」あの日から現在、そして未来へ続く新作とツアーを語る【後編】
――新作がリリースされた後はライブが続きますが、やはりターニングポイントとなった昨年末の日本武道館公演から1年経つ、今年の日本武道館公演が一番BUCK-TICKの変化を印象づけるものとなります。あらためて、昨年はどんなお気持ちでステージに立たれていたのか、そして今回はどのようなお気持ちでステージに立ちますか? 今井 昨年のライブはやるべきライブだったと思いますし、やってよかったです。4人でステージに立ちながら、櫻井の映像や声を流しながら演奏しましたが、「こういう感じになるんだな」というのが分かったというか。今年のライブは“新しい4人のバンドBUCK-TICK”をどう見せられるか、ということをいろいろと実験しながら、楽しくやりたいです。 星野 昨年は開催するかどうかというところも含めて議論して、結果、やることになりました。そこからどういう形でやろうかという話をして、メンバーもスタッフも、来ているお客さんもみんな不安の中、開催して。そんな状態でしたが、あのライブがあったから、みんな気持ちが変わったというか。できてよかったです。あの経験が有るのと無いのとでは、その先がまた全然違う気持ちだったんだろうなと。今年は新しい形になって、もちろん新曲もやりますし、いいものにしたいので、これから練っていくところです。 樋口 昨年は自分でもどんな気持ちでやっていたのか分からないくらい、何も覚えていないんです。でも、やっぱり応援してくれている人たちに、自分の気持ちを伝えたかった。例えばライブもやらずに文面で書いて報告だけ出すというのは、あまりにも失礼というか、直接気持ちを言うべきだろうって思っていたので、ライブができてよかったです。あのライブがあるから、今がある。何十年もかけて5人の形を作ってきたように、これからもバンドを結成したときのように手探りで4人の形を作っていけば、絶対いいものができると思っているので、頑張って作っていきたいです。 ヤガミ 昨年の日本武道館公演から1年近く経って、今考えたら、あのライブは本当に“第一期BUCK-TICK”のラストライブみたいなもんだと思います。これからは“第二期BUCK-TICK”の始まりで、この4人でこの『スブロサ SUBROSA』から行く、そういう気がしていて。まあ、別のバンドですよね。だから、後はみなさんに認めてもらうだけ。気分は新人みたいな気持ちというか。期待と不安はありますけど、今年の年末から新しいBUCK-TICKとしてのやる気でいっぱいです。 ――ではあらためて、みなさんにとっての「BUCK-TICK」とはどんな存在ですか? 今井 僕は学生時代から、ロックバンドを作って、職業にしたいと思っていたんです。アルバイトとかもしないで、バンドだけで生活したいなって。そこからいろいろなことが始まって、出会いもあって、今こうしている。だから、BUCK-TICKは、これからもずっとやっていきたいものです。 星野 難しいですが、生活の一部というところでしょうか。あって当たり前の存在です。 樋口 もうバンドを始めて長いんですよね。メンバーだけじゃなく、スタッフもファンもみんながBUCK-TICKだと思っていて。スタッフはずっと全力でやってくれているし、長く応援してくれている人もいるし、だからこそ“全員BUCK-TICK”状態になってきているのかなって。そういうバンドなんじゃないかという思いがあるので、とても大事です。 ヤガミ ユータも言ってましたけど、PAの人もデビューからずっと一緒なんですよ。後はほかの3人の藤岡高校の後輩のローディーがいて、インディーズ時代にライブをした新宿JAMのときからずっとやってくれているし。本当にうちのスタッフは長いんです。中には新しい人をどんどん入れるところもありますけど、自分たちはできるだけ長くやってくれと、そういうバンドなんですよ。だから、デビュー当初からの舞台監督とか舞台演出とかは、もう亡くなってる人もいるくらい。なので、本当に“チームBUCK-TICK”、そういう感じなんですよね。ツアーがあったら、10回に1回はスタッフ打ち上げがあるんです。そのときによく言うのは、来てくれたスタッフの人たちには、「自分もBUCK-TICKかもしれないけど、あなたもBUCK-TICKですから」と。ステージに出ているのはメンバーだけど、そこでBUCK-TICKの世界を構築してくれているのは、照明さんもそうだし、スタッフさんなわけですから。トータルでの総合芸術なんです。だから、いつも“チームBUCK-TICK”と思ってやっています。本当にメンバーがゼロになるまで、BUCK-TICKは存在するんじゃないかな。