【全日本2歳優駿予想】活躍馬多く出すダート界きっての出世レース 来年のクラシック戦線に名乗りを上げるのはどの馬か
第75回全日本2歳優駿が12月11日、川崎競馬場の1600mで2歳馬11頭(JRA5、南関東1、他地区5)で争われる。2歳ダートグレード戦で唯一のJpnIで、22年の優勝馬デルマソトガケは後にUAEダービーを勝利、23年を制したフォーエバーヤングはサウジダービー、UAEダービーを制覇し、ケンタッキーダービーで3着とワールドワイドに活躍。ダート界きっての出世レースだ。今年も全国から未来のダービー馬候補が参戦してきた。過去10年で8勝と圧倒的に優勢なのはJRA馬で、今年も強力メンバーを送り込む。 【写真】ナチュラルライズのこれまでの軌跡 美浦・伊藤圭三厩舎のナチュラルライズは、デビューから2戦2勝。新馬戦を6馬身差で圧勝し、休み明けの前走、カトレアSはスタート案外なうえ、やや折り合いを欠く内容だったが、直線では楽に脚を伸ばして勝利。2着と0秒1差だが、着差以上に強い競馬だった。左回りの前走で、やや外にふくれる面を見せたのは気掛かりだが、中団からの競馬もできるなど器用さも目立つ。母はデビューから2連勝と仕上がり早の血を受け継いでいるのも魅力だ。 同じく美浦の高柳瑞樹厩舎から参戦するのはグランジョルノ。父ゴールドドリームは新種牡馬で、すでにミトノドリームが九州ジュニアチャンピオン、ネクストスター佐賀を制し、さらにミラクルヴォイスがネクストスター門別、トサノマイヒメがフォーマルハウト賞を制覇と、地方重賞で産駒が活躍している。また、母はマリーンCのヴィータアレグリアという、まさに砂の申し子と言っていい血統だ。自身も札幌での新馬戦を勝ち抜けした素質を持つ。前走のJBC2歳優駿こそ2着だったが、初コースで初ナイターという厳しい条件で、スタート面に良化が見られるなぢ成長が感じられる一戦だった。2度目の地方馬場で勝ち負けに持ち込む。 そのJBC2歳優駿を制したのは、ホッカイドウのソルジャーフィルド(川崎洋人厩舎)。同馬の父も今年の新種牡馬で、17年の全日本2歳優駿を勝ったルヴァンスレーヴだ。前走は地の利があったとはいえ、後方追走から直線半ばでエンジンが点火すると一閃。鋭く脚を伸ばしての完勝だった。一戦ごとにしまいの切れが強化されており、初の長距離遠征、初の左回りも、直線の長い川崎なら克服可能とみる。川島洋人調教師も「半マイルから動いていっても大丈夫だし、4コーナーでポジションがとれていれば」と武器である機動力を生かした作戦を立てている模様だ。 さらに鮮やかな逃げ切りで2連勝中のホーリーグレイルが、地元・川崎を代表しての参戦。乗り替わりだが、鞍上は吉原寛人騎手。内田勝義厩舎、吉原寛人騎手での逃げ馬といえば、今年の川崎記念で逃走Vを決めたライトウォーリアのコンビ復活だ。「前走後も変わりなく調整できている。100mの延長ならこなせるはず」と内田勝義調教師。 さらに、前走の兵庫ジュニアグランプリ・JpnIIを制して臨むハッピーマン、平和賞の優勝馬・ウィルオレオールなど素質馬が勢揃い。勝って来年のダートクラシック戦線に名乗りを上げるのは、どの馬か。 (文:スポーツ報知記者・志賀浩子)