伊豆の巨大廃虚ホテルが放置される“ワケ” 内部の様子をドローン撮影 行政の対策は
■心霊スポット化 起きた“事件”
がれきが崩れ、隣の家に迫る危険な状態の建物。下田市にあるこちらの廃虚も、20年ほど前まで営業していたホテルでした。 建物はところどころ崩壊し、ツタで覆われている部分も多く、営業当時の面影はありません。去年1月には、ある事件も…。 4階建ての建物が半焼する火事が発生。廃虚はネットで有名な心霊スポットと化し、不法侵入も繰り返されていたといいます。 下田市民 「観光客の方が、通りすがりに『あそこだよ、心霊スポット』と言っていたり、(ホテルに)入っていく方も夏場とかはよく途中まで行って、帰ってくる観光客とかは見たことがある」 動画を配信する目的で、土地の所有者から許可を得て肝試しに訪れるケースも多く、動画配信サイトを見ると、ホテルの中に入り撮影した動画が多数アップされていました。 下田市も事態を把握し、所有者と話し合いをしていましたが、火事や台風などで建物の崩壊が進むにつれ、連絡が滞るようになり、対応に苦慮しているといいます。 下田市民 「東南海の地震がね、やっぱり来るといわれてて」 「(Q.怖いですよね)ええ」 「(Q.崩れるかもしれない)そうですね」
■廃虚ホテルの行政の対策は
なすすべなく朽ちていく廃虚ホテルがある一方、行政が対策に動いた廃虚ホテルもあります。 下田市 建設課 馬場友梨夏さん 「市のほうが買収を行って、今、市の持ち物として今後の管理ですとか、解体ですとか、進めていく手続きを始めているところです」 25年程前に廃業した旧下田グランドホテル。建造されてから60年近くたっていて老朽化が進み、耐震補強も行われていないため、危険な状態となっています。 下田の町や港を見下ろすようにそびえたつ、大きなホテルです。小高い丘の上に立っていて、周りは木々に囲まれていますが、異様な雰囲気を放っています。 許可を得て建物の中を撮影すると、天井が剥がれ落ち鉄筋が剥き出しになっています。柱だけが残っているような状態です。下には割れたガラスや天井などが散乱しています。 中は荒れ放題で、もともとどのような場所だったのか見当がつきません。客室を見てみると、植物が生い茂っている部屋もあり、月日の流れが見て取れます。 市の職員が調査のために中に入った時に撮影した写真。かつて多くの人が楽しんだであろう、舞台付きの宴会場。天井が剥がれ、舞台上もがれきが散乱し、荒れ果てています。 馬場さん 「昭和の時代はかなりのお客さまが入られていたのではないかと」 「(Q.観光バスが乗りつけてっていうような?)そうですね、そういう感じだったと思います」 ホテルが隆盛を誇った1980年代のパンフレットを見ると、太平洋でとれる豪華な海の幸、バンド演奏付きのバー、卓球台やビリヤード台が並んだ娯楽室が紹介されています。 そして、400人収容できる舞台付きの宴会場の在りし日の姿も。今ではその姿は見る影もありません。 25年にわたって放置されてきた旧下田グランドホテル。下田市は、建物が崩壊したり、持ち主が破産し所有者がいなくなってしまったりする状況を回避するため、去年ホテルの所有権を100万円で取得しました。 2027年度に解体し、その後公園として使うための整備を進めていく予定だといいます。 馬場さん 「景観の阻害とか危険性が無くなる所もありますので、整備の方は進めていきたい」