伊豆の巨大廃虚ホテルが放置される“ワケ” 内部の様子をドローン撮影 行政の対策は
静岡県東伊豆町にある廃虚となったホテルです。昭和からバブル期にかけては団体旅行客でにぎわった温泉街ですが、現在は廃業したホテルがいくつもあり、行政が対応に追われているということです。 【画像】廃虚ホテルの内部の様子 がれきが散乱し、荒れ果てている舞台付きの宴会場
■巨大廃虚ホテルをドローン撮影
眼前に広がる太平洋の雄大な眺め。高原から見下ろすパノラマビューは、まさに絶景です。 海と山に囲まれた自然豊かな町。伊豆半島東海岸の中央に位置する東伊豆町。町には6つの温泉郷があり海岸沿いには多くの温泉旅館が立ち並びます。 熱川地区の街なかには、吹き出す源泉を管理する温泉やぐらがいくつもあり、温泉街の情緒を醸し出します。 稲取地区には石原慎太郎さん・裕次郎さん兄弟や、良純さんも通った人気の温泉旅館も。季節は冬、まさに湯けむりシーズンを迎えた温泉街にある異変が…。 海岸にそびえ建つ巨大な廃虚ホテル。廃業から10年以上経っていて、塗装は剥がれ建物は荒れ果てています。 建物には落書きが目立ち、侵入の痕跡が多く見て取れますが、現在は建物の手前にフェンスが設置され、敷地内への侵入を防いでいます。 上空から見てみると、かなり広い敷地で、4つの建物がありますが、そのどれもが長年放置され、朽ち果てています。 巨大廃虚ホテルは10年以上にわたり時が止まったままです。 一カ所だけ残されたベランダの柵。客室の中を見ると、ソファが海を向いて置かれたままになっている部屋が多くあります。 温泉のような所は、壁に設置された窓ガラスが見え、浴槽のようなものが見えます。おそらく露天風呂だった所は、浴槽のようなものも見えます。 上から見ると、天井が崩れ落ち、がれきが散乱しているのが分かります。営業当時の面影が全く見られない、巨大な廃虚。町は、所有者の把握はできているものの、解体に向けての話は進んでいないといいます。
■海沿いの廃虚ホテル バブル期は隆盛
海沿いに立つ、廃虚ホテルは他にもあります。 東伊豆町 企画調整課 太田正浩課長 「こちらも休業中ですね」 「(Q.海岸沿いの大型旅館が立ち並んで廃業?)そうですね。一等地なんですけど、続けられなかった」 こちらのホテルも10年ほど前に休業。休業後、所有者が複数入れ替わり、現在では町が所有者を特定できない状態で、対応に苦慮しています。 街なかにはシャッターが閉まっている商店が目立ち、なかには廃虚化した建物も。東伊豆町はピーク時の1980年代後半には1年でのべ650万人近くの観光客が訪れました。 太田課長 「(Q.ピークの時のにぎわいはすごかった?)芸者さんなんかもたくさんいてということも聞いています」 当時のナレーション 「温泉、グルメ、レジャー、スポーツ。1年を通して楽しめるとっておきのスーパーリゾート、それが東伊豆まち温泉郷です」 1990年代の東伊豆町のプロモーションビデオには多くの人でにぎわう海水浴場、海を見渡す絶景の温泉、ゴルフや、パラグライダーを楽しむ多くの人々の姿がみえます。 バブル期には別荘地としても人気のスポットで、高原にあるテニスコートには、多くの若者の姿がありました。 町中がにぎわいに満ちていた東伊豆町。しかしその後、バブルの崩壊とともに、日本の旅行形態は少人数のグループや個人旅行に変化。団体客がメインだった大型のホテルは衰退していきます。 2010年代に入り、伊豆半島の玄関口、熱海市は若者へのPRに成功し観光客数が回復。一方、東伊豆町は減少傾向が続き、多くの宿泊施設が廃業に追い込まれ、建物だけが残されました。 廃虚ホテルの問題は、伊豆半島のさらに南の地域でも。