生態系保全の取り組み評価指標案、COP16でほぼ合意も中断し採択に至らず
国連のグテーレス事務総長はCOP16の会期中に演説。「人類は危険な状況にある。生物多様性を破壊し、汚染を悪化させている」と強調した上で、COP15で23項目の国際目標に合意したことを引き合いに「『世界は今世紀半までに人類は自然と調和して生きる』という大胆な約束をした。私たちはこの約束を実行しなければならない」などと述べてCOP16での成果に期待を寄せた。
生物多様性とは人間を含む多種多様な生物が地球上で互いにつながっていることなどを示す概念。生物多様性条約は、これを守るために国際協力で生態系の保全と適切な利用が必要との考え方から1992年5月に採択された。しかし、その後も人間活動による環境破壊や気候変動により種の絶滅や生態系破壊が深刻化している。
国際自然保護連合(IUCN)はCOP16会期中の10月28日に世界の絶滅危惧種をまとめたレッドリストの最新版を公表。「登録された生物種約16万6000種のうち約4万6000種以上が絶滅の危機に瀕している」と生物多様性の危機を強調した。
IUCNは今回レッドリストの更新作業で生物種の中でも今回世界の樹木の保全状況を初めて調査。約4万7000種の樹木のうち少なくとも3分の1に当たる約1万6000種が絶滅の可能性がある、と指摘した。そして樹木は生命の営みに不可欠な役割を果たしているとし、樹木の喪失は多くの動物や植物にとって脅威になる、と警鐘を鳴らしている。