マクラーレン750S 詳細データテスト 本能を揺さぶる加速 ダイレクトなハンドリング 引き締まった脚回り
使い勝手 ★★★★★★☆☆☆☆
■インフォテインメント センターのインフォテインメントディスプレイは、720Sでの採用時よりアップグレードされている。縦型の控えめなサイズで、ダッシュボードを広く占拠することはないが、入力はタッチ操作のみで、ベストなシステムに比べれば、操作のプロセスは直観性に劣る。 マクラーレンのレイアウトや機能の優先順位は、どこかちょっと奇妙なところがあり、慣れが必要だ。とはいえ、実体ホームボタンが助けになり、フリック操作でのメニュー移動が素早くできて、上位メニューへの復帰も楽だ。 スマートフォンのミラーリングは有線で、Apple CarPlayのみに対応し、Android Autoは非対応。ワイヤレス充電器も備わらない。オーディオは、高出力のバウワース&ウィルキンスがオプション設定されるが、テスト車の標準装備品はやや非力な感じだ。 ■燈火類 フルLEDヘッドライトは標準装備で、固定式ライトの光線を調整するスタティックアダプティブ機能が備わる。今回、その実力を試す機会はなかった。 ■ステアリングとペダル ブレーキペダルはわずかに、右足より左足でのほうが踏みやすい配置。多くのミドシップカーに見られるレイアウトだが、大した問題ではない。ステアリングコラムは、必要以上なほどの調整範囲がある。
操舵/安定性 ★★★★★★★★★☆
750Sのハンドリングは速度域を問わず、すばらしい感触で没入できる。この点では、もし720Sがややマイルドで万人受けするものだとしたら、後継モデルはそうではなくなっている。 コミュニケーションは、720Sより鮮明だが、まったく方向性の違うものではない。クイックになったステアリングは、より直観的な手応えとダイレクトな感触をもたらすが、レスポンス過剰に感じることは決してない。ボディコントロールには刺激や弾性が増していて、公道での乗り心地は体感的に720Sより20~30%くらい硬く思える。 しかしながら、720Sはそのしなやかな乗り心地が最大の美点であり、大きなマージンは残しながらも、ワインディングなどでの走りを高めるのと引き換えに、750Sの乗り心地は硬いと感じるものになっている。ひどく張りつめたものにはなっていないが、十分にそこを避けることができているとは言えず、遮音には一般的なマクラーレンよりアルティメットシリーズに近い粗さもある。 しかし、ワインディングではマクラーレンらしい独自性がある。異常なほど正確で直観的なフィールの操舵系が、四輪とも精密なライン取りを可能にし、シャシーの幅を楽に扱えるようにしてくれる。それはとにかく正確で、安定して俊敏なハンドリングバランスにもつながり、急激に向きを変えることも、もたつくこともない。 決定的なのは、720Sほどではないものの、公道での速度域でみせるボディコントロールのなめらかさだ。轍にタイヤを取られたり、バンプステアが出たりすることはたまにあるが、スーパーカーの基準に照らせば問題になる程度ではない。もっとヴィヴィッドな動きが好みであれば、物足りないとさえ思うかもしれない。