相次ぐ大型IPO 上場のメリットとデメリットは?
先日、スマートフォン向け無料通信アプリを運営するLINEが、東京証券取引所に新規株式公開(IPO)を申請したとの報道がありました。上場時期は今秋頃との見通しです。 今年は大型IPOが相次ぎます。3月にはジャパンディスプレイが、4月には西武ホールディングスが上場を果たしました。さらに、9月末にはすかいらーくが、10月頃をメドにリクルートホールディングスのIPOが予定されています。投資家や関係者にとって、IPOは明るいニュースです。そもそも株式公開のメリットはどのような点にあるのでしょうか。改めておさらいしてみましょう。
「株式を上場する」とは?
上場とは、自社の株式を証券取引所で自由に売買できるようにすることです。以前は、新規の株式公開を「公開」、すでに新興企業向けの株式市場・東証マザーズに公開された株式を東証2部や東証1部にステップアップすることなどを「上場」と、言葉を使い分けて報道する慣習もありましたが、最近は「公開」も「上場」も同じような意味合いとして表記されています。 上場に際しては、株式を公開したい証券取引所の審査を受けなければいけません。審査基準には形式基準と実質基準があり、前者は各市場で異なるものの、純資産額や時価総額、設立経過年数、上場時の見込む株主数などをチェック。後者は、企業の継続性や収益性、企業経営の健全性など、上場会社にふさわしい経営基盤があるかを確認します。審査期間は、東証1部と2部は約3~4か月、東証マザーズは約2か月です。
上場するとどんなメリットがある?
上場による最大のメリットは、資金調達の円滑化や多様化です。会社を大きくしようとしたとき、非上場時は、オーナーやその家族、従業員などが資金を出したり、銀行から借り入れしたりして資金を集めます。しかし、この場合には集められる資金に限りがあります。しかし、上場によって株式を発行し、投資家に買ってもらえれば、より多くの資金を集めることが容易になります。 また、証券取引所の厳しい審査をパスしたことで、企業の経営状況にお墨付きを得られた形となるのも大きなメリットです。取引先や金融機関からの信用度、さらに会社の知名度が上がることで優秀な人材を集めやすくなる、従業員の士気が向上するといったプラスの側面があります。