相次ぐ大型IPO 上場のメリットとデメリットは?
あえて上場しない大企業も
大企業というと、その多くが上場しているイメージがありますが、有名企業でも上場しない道、つまり非上場を選んでいる企業が存在します。たとえば、サントリー(子会社は2013年に上場)や竹中工務店、ロッテ、JTBなど。あえて上場しない理由は何なのでしょうか? 一般的には、大きく3つの理由があります。1つめは、敵対的買収を防ぐため。株式が市場で自由に売買されることで、他社に買収されるリスクが発生します。2つめは、企業の経営に口出しされないようにするため。株式を発行することは企業の経営権の一部を投資家に渡すことになり、株主の意見を受け入れる必要があります。株主が高配当を受けられるよう、株価を上げるよう短期的な利益を求めれば、企業は経営方針を変更せざるを得ないという状況になる可能性も。3つめは、上場の維持費がかかるため。上場企業は3カ月ごとの四半期決算書や年1回の本決算書を作成し公開する義務があるほか、取引所への年間上場料、管理部門の人件費、監査法人への監査報酬など、さまざまなコストがかかります。 上場することが必ずしも企業にとってプラスではないため、メリット・デメリットを判断し、上場しないという選択肢もありえるのです。
今後の市場予測は?
日本経済新聞の新規上場スケジュールによれば、7月31日時点で公表されている今年のIPOは35社。年間では70社近くが上場するとの見通しがあります。また、2015年度内には政府系企業の日本郵政の上場が控えています。株式市場におけるアベノミクスの期待感が薄れつつある中、大型銘柄の上場が市場への新たなカンフル剤になるのか、注目が集まります。 (南澤悠佳/ノオト)