ハリルJ、W杯アジア2次予選は本当に楽勝なのか?
6大会連続のW杯出場をかけた日本代表の戦いが、いよいよ幕を開ける。 すでに始まっているロシアW杯アジア2次予選で、ハリルジャパンは16日にシンガポール代表との初戦(埼玉スタジアム)を迎える。 2次予選は40チームが8グループに分かれてホーム&アウェーのリーグ戦を行い、1位の8チームと2位の上位4チームの計12チームが来年9月開幕の最終予選に駒を進める。 日本が入ったグループEはシンガポール(FIFAランク154位)のほかに、シリア(同121位)、アフガニスタン(同151位)、カンボジア(同178位)が入っている。 FIFAランクがすべてを反映するとは限らないが、それでも52位の日本と他の4カ国とは桁がひとつ違う。組み合わせ決定を受けて、日本代表ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は「いいグループに入ったと思う」と率直な感想を語った上でこう続けている。 「彼らはある程度のクォリティーがあるが、我々のレベルにあるとは思わないので、それを好意的にとらえないといけない」 相手をリスペクトした上で、勝ちながらチームを成長させていく青写真を描いているわけだが、果たして思惑通りにことが運ぶのか。たとえばジーコ監督時代のW杯予選でシンガポールに、アルベルト・ザッケローニ監督時代のアジアカップではシリアに、ともに2対1のスコアで辛勝した苦い思い出がある。 今回のアジア2次予選のアウェー戦を見ても、紛争地域のアフガニスタンとシリアとは、それぞれ中立国のイランとオマーンで対戦することが決定。カンボジア戦は、日本が不得手とする人工芝のプノンペン五輪スタジアムで行われることも内定している。 ドイツサッカー協会発行の公認S級ライセンス保持者で、ブンデスリーガ1部のビーレフェルトでヘッドコーチを務めた経験をもつ解説者の鈴木良平氏は、それでも「まったく問題ない」と断言する。 「中東で試合をする難しさはあるかもしれないけど、このグループで1位になることはそれほど難しいことではない。日本がこうしたチームに苦戦する理由は、ほとんどの場合で縦へボールを入れる勇気をもてなかったから。ジーコ監督は選手に自由を与えすぎたし、ザッケローニ監督は逆に慎重すぎたが、ハリルホジッチ監督に代わってガラリと変わった。 横パスやショートパスをつないでチャンスを待ち続ける、時代遅れもはなはだしいサッカーから、いまはボールをどんどん縦へ運ぶサッカーに変わってきている。ちょっと楽観的すぎるかもしれないけれども、ハリルホジッチ監督はいま現在の世界基準のサッカー観をもっているから、これまで苦戦してきた相手も間違いなく崩せると思う」 アジアの舞台で日本が格下相手に苦戦を強いられた試合は、決まってほぼ全員が自陣に引く相手を攻めあぐねる展開となった。ボールポゼッション率こそ高まるものの、ゴールへの予感が漂わない閉塞感を一掃するには、積極果敢にミドルシュートを放つことがセオリーとされている。