後悔しないための老人ホームの選び方【介護の「今」】
◇特定施設入居者生活介護
特定施設の対象となるのは、介護付き有料老人ホームのほか、介護型ケアハウス、介護付き有料老人ホームに該当するサ高住、養護老人ホームがある。 特定施設入居者生活介護には2種類あり、特養のように施設内の職員が提供するケアプランや介護サービスを受けられる「一般型」と、施設内のケアマネジャーが作成したケアプランを基に、外部の介護保険サービス(ヘルパー、訪問看護、デイサービスなど)を利用する「外部サービス利用型」がある。介護保険のサービスの利用料については、国で決められた所定の金額を支払うことになる。
◇「ときどき老人ホーム」の使い方も
住み慣れた自宅から老人ホームに移り、一生を終える。老人ホームの使い方は、それが唯一の選択肢ではない。 例えば、在宅復帰・在宅療養支援施設としての老健は、ときどき老健に入所しながら、在宅での生活を継続するという利用の仕方を推奨している。 施設入所の間に、リハビリを行ったり、栄養状態を改善したり、徘徊・暴言・幻覚・睡眠障害などのBPSD(認知症の行動・心理症状)を改善したりして、心身の状態を再び在宅生活が続行できるまで回復させる。家族もその間、介護疲れを癒すといった使い方ができるのだ。 数カ月間の施設入所のほか、ショートステイ(数日から1カ月未満の短期入所)という利用方法もある。ショートステイは、老健以外の介護保険施設ではもちろんのこと、グループホームや特定施設でも利用可能な場合がある。
◇相性の良い老人ホームを見つける
2021年時点で、老人ホームに入居している人は、特養64万人、有料老人ホーム59万人、老健36万人、サ高住27万人、グループホーム21万人、ケアハウス10万人、養護老人ホーム6万人、介護医療院4万人となっている(千人の位を四捨五入、厚労省調べ)。 個室を基本とする老人ホームも増えてきた。パンフレットや施設からの説明を聞くだけではなく、体験入居やショートステイの利用などにより、相性を実際に確かめることが後悔しないための施設選びには必須だ。老人ホーム選びは、人生最終章の幸せを左右する重要な選択なのだから。(了) 佐賀由彦(さが・よしひこ) 1954年大分県別府市生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。フリーライター・映像クリエーター。主に、医療・介護専門誌や単行本の編集・執筆、研修用映像の脚本・演出・プロデュースを行ってきた。全国の医療・介護の現場を回り、インタビューを重ねながら、当事者たちの喜びや苦悩を含めた医療や介護の生々しい現状とあるべき姿を文章や映像でつづり続けている。中でも自宅で暮らす要介護高齢者と、それを支える人たちのインタビューは1000人を超える。