後悔しないための老人ホームの選び方【介護の「今」】
◇ついの住み家かどうか
ついの住み家、すなわち、亡くなるまで居られるかどうかも老人ホーム選びには、重要な視点となる。 介護保険施設3施設のうち、特養と介護医療院は「生活施設」と位置付けられ、ついの住み家のような性格が強い。特養と介護医療院の違いは、前者が要介護度の高い高齢者を、後者が医療依存度の高い高齢者を対象としている点にある。他方、老健は在宅復帰・在宅療養支援を目指す施設である。後ほど詳説する。 グループホームや有料老人ホームなどは、みとりまで行うかどうかが施設によりまちまちだ。終末期(ターミナル)になると退所を求められ、病院への入院が必要となる施設もある。なお、特養の中にも、みとりの対応をしていない施設がある。
◇有料老人ホームの利用料
厚生労働省によると、有料老人ホームとは、食事の提供、介護(入浴・排せつ・食事)の提供、洗濯・掃除などの家事の供与、健康管理のサービスのうち、いずれかのサービス(複数も可)を提供する施設だ。都道府県などへの届け出が必要となる。厚労省の調査では、特養が社会福祉法人や自治体など、老健が医療法人や自治体などと設置主体が限定されているのに対し、有料老人ホームは、株式会社などの営利企業が設置主体となることもできる。 料金設定はフリーであり、介護が受けられる有料老人ホームの場合、総じて介護保険施設よりも高い。また、介護保険施設とは違い、月額利用料のほか、入居一時金が必要な施設も少なくない。入居一時金は数万~数千万円と大きな幅がある。入居金が0円という施設もあるが、月額利用料が高い傾向がある。
◇有料老人ホームのサービス類型
有料老人ホームのサービス類型は、介護付き、住宅型、健康型の三つだ。 このうち、健康で自立して生活ができる高齢者を対象とした健康型有料老人ホームは数が少ない。また、介護が必要となった場合は退去しなければならないので、ついの住み家になることは難しい。なお、介護付き有料老人ホームを併設し、介護が必要になったらそちらに移るという便を図っている施設もある。 住宅型有料老人ホームは、このところ急激に数を伸ばしている。身体介護サービス以外の食事の提供や家事などの生活支援サービスが付属した施設だ。介護サービスを利用する場合は、自宅にいる場合と同様、入居者自身が地域のケアマネジャーと契約し、訪問介護(ヘルパー)や訪問看護を利用する。 介護付き有料老人ホームは、介護保険の「特定施設入居者生活介護」というサービス事業所の指定を受けた施設をいう。