一人暮らしになった実家の母を扶養に入れようと考えています。税負担が軽くなるのですが、デメリットもあるのでしょうか?
親が高齢になったり、配偶者との死別などで一人暮らしになったりして収入が減ったタイミングで、親を扶養に入れることを検討する人は多いでしょう。親を扶養に入れる選択には、金銭面のメリット・デメリットの両面があるため、十分な検討が必要です。 本記事では、親を扶養に入れる条件やメリット・デメリットをそれぞれ分かりやすくまとめました。 ▼年金が「月10万円」で老後が不安…持ち家で「貯金」と「退職金」があれば大丈夫? 生活費を試算
「扶養」は税法上の扶養と社会保険の扶養の2種類
「親を扶養に入れる」という場合、一般的には税法上の扶養と社会保険の扶養の2種類があります。 税法上の「扶養に入れる」とは、親を扶養控除の対象として所得税や住民税の計算時に所得控除を受けることです。別居の親を税法上の扶養に入れるには、次の条件を満たしている必要があります。 ・納税者と親が生計を一にしている(常に生活費や療養費の仕送りなどをしている) ・親の年間の合計所得金額が48万円以下である 一方の社会保険の「扶養に入れる」とは、親を健康保険の被扶養者にすることをいいます。親を健康保険の被扶養者にするには、主として被保険者に生計を維持されている状態でなければなりません。原則として次の収入基準が設けられています(このほか短時間労働者の社会保険適用基準に当てはまっていないことも必要です)。 ・年間収入が130万円未満(60歳以上は180万円未満) ・被保険者の援助による収入より本人の年間収入が少ない いずれにも収入基準が設けられているため、親が年金をもらいながら働いている場合など、一定以上の収入がある場合は扶養に入れられないケースも考えられます。
親を扶養に入れるメリットは?
親を税法上の扶養に入れるメリットは、所得控除の金額が増えることで、所得税や住民税の負担が軽くなる可能性があることです。 親が扶養控除の対象になると、親が70歳未満の場合は所得税:38万円、住民税:33万円の控除を受けられます。親が70歳以上の場合は老人扶養親族として、所得税:別居48万円・同居58万円、住民税:別居38万円・同居45万円の控除が適用されます。 親を社会保険の扶養に入れると、親が個人で支払っていた国民健康保険料などの健康保険料(74歳まで)や介護保険料(64歳まで)を負担しなくてよくなります。健康保険は、被保険者1人分の保険料の負担で、被扶養者も保険診療を受けた場合や死亡時などに被保険者と同様の保険給付を受けられる制度のため、受けられる保障が薄くなることもありません。