一人暮らしになった実家の母を扶養に入れようと考えています。税負担が軽くなるのですが、デメリットもあるのでしょうか?
【注意】親を扶養に入れると医療・介護費用や介護保険の負担が増えるケースがある
親を社会保険の扶養に入れると、かえってデメリットを被るケースがあるため注意が必要です。具体的には、次のような影響を受ける可能性が考えられます。 ・高額療養費の自己負担限度額が上がる ・介護保険の所得段階が上がる ・介護費用の負担軽減制度が適用されなくなる ・親の働き方が制限される 高額療養費とは、同一月に高額な医療費を支払った場合、自己負担限度額を超えた部分が還付される公的医療保険の制度です。高額療養費の自己負担限度額は被保険者の所得で決まるため、所得が少ない親本人が被保険者のままのほうが、自己負担限度額をおさえられることがあります。 また、たとえ家族の被扶養者であっても、65歳以上になると介護保険料は本人負担です。本人が住民税非課税の場合、ほかの世帯員の住民税課税状況などで介護保険料の所得段階が上下するため、子の扶養に入らず本人の収入だけで判定を受けたほうが有利なケースがあります。 介護費用の負担軽減制度に関しても、世帯の住民税課税状況などが区分に関わるため、子の扶養に入らず負担をおさえる選択肢を検討する必要があるでしょう。 なお、親を税法上や社会保険の扶養に入れるには親本人の所得が、基準を超えないように調整しなければなりません。本人が元気で働く意欲がある場合などは、本人がしっかり働いて収入を得たほうが経済的にメリットの大きいこともあります。 親を扶養に入れる前に、さまざまな状況をシミュレーションして、メリット・デメリットを見極めましょう。
親を扶養に入れる前にメリット・デメリットを比較して検討しよう
親を扶養に入れることで、子の税負担をおさえられる、親本人の健康保険料の負担をおさえられるといったメリットがあります。 一方で、高額療養費の自己負担限度額や介護保険の所得段階が上がる、介護費用の負担軽減制度が適用されなくなる、親の収入をおさえなければならないことなどのデメリットもあるため、事前に十分検討して扶養に入れるかどうかを決めることが大切です。 出典 全国健康保険協会 協会けんぽ 被扶養者とは? 国税庁 No.1180 扶養控除 東京都主税局 個人住民税 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部