森永製菓のゼリー飲料 羽生九段が愛用し将棋ファンから認知拡大
日経BPコンサルティングの実施するブランド価値調査「ブランド・ジャパン2024」(BJ2024)の一般生活者編で順位の伸びが著しかった企業を見ると、得意分野の価値向上策を打ち出し、SNS上での拡散にうまく結びつけているという共通点が浮かび上がる。 【関連画像】将棋がブームになるにつれ、棋士たちが食べる昼食やおやつにも注目が集まり、棋士たちが飲んでいた「inゼリー」にも光が当たった(写真=yuhorakushin/stock.adobe.com) 19位に入った森永製菓、29位に入った業務スーパーという2つのブランドから成功の秘訣を読み解く。 ●利用シーンを模索し、在宅ワークに着目 森永製菓は前回の65位から19位へと大きく伸びた。商品を利用してもらう幅を広げようと模索する中で、SNSで拡散しやすいブランド価値上昇につながるテーマにたどり着いた。 順位上昇の大きな要因は、ブドウ糖を配合したゼリー飲料「inゼリー エネルギー ブドウ糖(以下、inゼリー ブドウ糖)」の人気だろう。ブドウ糖は脳が働くためのエネルギー源となる。頭を使う勉強や仕事をする際の栄養補給に使ってもらおうと2020年に投入した。 従来、inゼリーを飲んでもらえる場面は大きく2つあった。スポーツ後の栄養補給、そして忙しいときの朝食の代わりだ。ところが、新型コロナウイルス禍で外出が減るとどちらの需要も伸び悩むようになった。そこで、在宅ワークでも飲んでもらえるように開発したのがinゼリー ブドウ糖だった。 コンビニエンスストアでテスト販売してみると、それなりに需要がある。もっと売るには、頭を使う利用シーンを分かりやすく提案できる要素が必要となった。社内で議論するうち、行き当たったのが将棋だ。 ●「棋士たちが飲んでいる」 森永製菓菓子マーケティング部の佐藤実部長は、タイトル戦の一つである王将戦を協賛しようと日本将棋連盟を訪ねた。すると、当時の佐藤康光会長から「棋士でinゼリーを飲んでいる人が結構いるんですよ」という話が飛び出し、棋士の名前が次々に挙がった。佐藤部長は、思わぬ展開に手応えを感じ始めた。 訪問後に将棋の中継を見ていると、棋士がinゼリーを脇に置いている様子が時折映る。これなら消費者の注目を集められそうだと実感が湧いてきた。