不朽の名作「ぐりとぐら」の魅力とは?『こどものとも』 編集部が選ぶ名場面3選【追悼|児童文学作家・中川李枝子さん】
【追悼】中川李枝子さんご逝去の報に接し、謹んでお悔やみ申し上げます。 「ぐりとぐら」シリーズをはじめ中川さんの作品は、子どもたちだけでなく、大人にも温かな思い出を届け、世代を超えて愛され続けてきました。 その創造の世界に触れることで、多くの感動と喜びをいただきました。ご冥福を心よりお祈り申し上げます。 2024年10月17日 婦人画報編集部一同 <以下、2023年に婦人画報デジタルで有料配信した記事を再編集し公開配信いたします。>
青い服と赤い服を着た野ねずみの「ぐり」と「ぐら」 が生まれたのは1963年。幼児向けの月刊物語絵本『こどものとも』に登場したのが始まりでした。 以来、文章を担当する姉の中川李枝子さんと、絵を担当する妹の山脇百合子さんの姉妹によって『ぐりとぐら』のお話は1冊ずつゆっくりと紡がれ、39年をかけて7冊の絵本を出版。いまもなお幅広い世代に読まれています。 2023年に誕生60周年を迎えた人気シリーズのアニバーサリーを祝し、福音館書店『こどものとも』編集部に名場面を選んでいただきました。
1.1963年発売『ぐりとぐら』より「大きなカステラをみんなで分け合って食べるシーン」
「みんなでおいしいものを楽しく食べる」というのが、『ぐりとぐら』シリーズを通してのテーマなので、原点となるシーンということでこちらを選びました。みんなが嬉しそうにカステラを食べている様子は、見ているこちらも楽しい気持ちにさせてくれます。小さなカニやトカゲたちまで、ちゃんと分け前をもらっているのがかわいいですよね。 このシーンには、中川李枝子さんと山脇百合子さんのコンビによる別の作品のキャラクターも登場しているんですよ。左ページには、『そらいろのたね』や『いやいやえん』にも登場している「森のおおかみ」とこぐまの「やまのこぐ」。丸太の上には『かえるのエルタ』から2匹のかえる「エルタとドレミ」と、赤い殻(から)に住む医者の「かたつむり」が遊びに来ています。(『こどものとも』編集長 関根さん)